:: 雨模様
2019.07.03 (Wed) 23:50

湊「ふう、すっきりしたー。ただいまー」

ガチャ

湊「夏の夕方ってやっぱ走りやすいな、涼しいし。ちょっと湿気多いけど;」

湊「シャワーの前にさくっと夕飯作るか。どうせ火使ったらまた汗かくし」

トントン

湊「今日は遥が食べたいって言ってたまぜそばだ」

トントン

湊「辛みはちょっと抑えめで。俺は後から辣油ぶっかけよう」

湊「豚ひき肉がいいけど遥が食べるなら鶏かな、まぁたまにはいいか」

トントン
ジューッ

湊「もうすぐ夏バテしちゃうんだろうし、こういうのもきつくなるんだろうなぁ」

湊「…ところで。なんか遅いな、いつもはとっくに帰ってきてるのに」

湊「また図書館か?研究室か?うーん…連絡してみよ」

『今どの辺?帰宅中?』
『ご飯そろそろできるよ』

湊「まだ外は明るいけど…大丈夫かな、変な奴にさらわれたりしてないか」

湊「……既読なし…」

湊「心配になってきた…」

湊「電話電話」

prrrrrr……

湊「出ない…」

湊「……………いや、大丈夫だろう、けど…」

湊「けど……」

湊「もうすぐ日も落ちちゃうし…」

湊「……あーーだめだ!行こう!迎えに!」

湊「ガス止めて、麺は茹でずに置いといて…具はそのままでいいか」

湊「エアコン切って……と。どうせ汗くさいから走ってもいいな」

湊「よし!」

バタンッ

ーーー

湊「うーむ、既読にもならない」

湊「既読スルーはよくあるけど、わざと既読つけないとかそんなことしないしな」

湊「くそう、こんなことなら意地張らずに榛って奴の連絡先訊いとくんだった…いややっぱそれは癪だ(T_T)」

湊「大学ついた、けど…どこにいるんだろ、とりあえず図書館探して…」

か「あ、小宮さんこんにちは!って、もうこんばんはですね」

湊「かりんくん!あのさ、知らないとは思うんだけど…遥見なかった?」

か「桜井さんですか?えっと、一時間くらい前に図書館のPCルームでお会いしました」

湊「Σマジか」

か「僕はその後、友達と食堂へレポートを書きに行ったので、今もいらっしゃるかはわからないんですけど…」

湊「そっか、とりあえず行ってみるよ。かりんくんはこれから帰るの?」

か「今日は先輩のおうちに行くので、これからちょっと買い出しに行きます(^^)」

湊「暗くなってきたし、気をつけてな。ありがとう」

か「はい、それでは」

ーーー

ひょこっ

湊「図書館……来たけど、やっぱいないよなぁ」

湊「既読もつかない、電話にも出ないし…」

湊「ああああマジで心配になってきた。怖いよー、早く出てこいよ遥…」

凌「?小宮か、廊下で何を騒いでいる」

湊「うわ、びっくりした。お前こそなんでこんなとこに…」

凌「図書館PCのアップデートに情報科として駆り出された。もうすぐ帰るが」

湊「あ、そ、そう。さっきかりんくんに会ったぞ、これから買い物だって」

凌「ああ、メールが来ていたな」

湊「いいなぁ、こっちは音信不通だってのに」

凌「桜井か。30分ほど前、アップデートの合間にコンビニへ行ったら見かけたが」

湊「コンビニ!マジか!」

凌「とはいえずいぶん前のことだ。今もいるかどうかは何とも…」

湊「いいよ、とりあえずここにいないなら探さないといけないし。でも、もうすぐご飯なのにコンビニで何買ったんだろ」

凌「そこまでは見ていないな。俺も休憩に来ただけで挨拶程度しか話さなかった」

湊「お前と遥って何も話すことなさそうだもんな…;」

凌「そんなことはない。お前の数少ない好意的な点を挙げたり…」

湊「数少なくねーよコルァ(怒)」

凌「…で、油を売っていていいのか」

湊「くうっ…そうだった、コンビニ行かなきゃだ」

ーーー

湊「はー、やっぱりいない…」

湊「ぐすっ…泣きたくなってきた」

湊「遥……(´;ω;`)」

佳「あぁ!?また被ったわクソが!こちとら箱買いしてんじゃボケェ!」

店員「す、すみませ…ランダムなもので…」

佳「んなことはわかっとるわ!チクショー、どうやってもスカサハが出ない…!」

湊「おい落ち着けよ」

佳「!小宮じゃん、何してんのこんなとこで」

湊「何してんのはお前だろ、店員さんに当たるなよ;」

佳「当たってないしー。てかこの子知り合いよ、後輩」

店員「あ、どうもっす。かなさんと同じサークルで」

湊「あ、バイトか。ということは漫研」

店員「はい。そろそろ上がってサークルのほう行くんで、それじゃ」

佳「ん、後でね。で、あんたは?遥ちゃんさっき正門のところにいたけど、帰ったの?」

湊「え!帰ったの、マジで!」

佳「?なんであんたが知らないのよ?」

湊「探してんだよ、電話も出ないし返信もないし!じゃ、すれ違いになっただけなのか…?」

佳「んー、でもなんか待ち合わせしてるっぽかったよ」

湊「え?」

佳「正門の日陰のところでじっとしてたし」

湊「それ、いつ頃だ?」

佳「今からだと40分くらい前かなー」

湊「ってことはコンビニ出てすぐか。待ち合わせ……」

佳「あんたに愛想尽かして誰かとお出掛けしてるんじゃないのーw」

湊「(´;ω;`)ブワッ」

佳「Σ!じょ、冗談だって。とりあえず連絡続けてみれば気づいてくれるでしょ」

湊「うう……まさか…まさか…」

佳「あー…; じゃ、じゃああたしはサークル行くから!見つかったら教えてねっ(逃)」

湊「まさかぁ…(´;ω;`)」

prrrrr

湊「Σ」

湊「遥!!」

ピッ

遥『お前今どこにいる』

湊「こっちの台詞だよ!(怒)」

遥『家にいる』

湊「ええ…なんだ、やっぱり行き違いか。…って。誰と待ち合わせしてたんだよ」

遥『待ち合わせ?』

湊「ルシから聞いたぞ、校門で待ってるとこ見たって」

遥『夏風の家で子猫が産まれたから…見に行く約束をしただけだ』

湊「…………はい?;」

遥『今朝産まれて…気になるなら、車を出すから見に来いって…』

湊「……ねこ?」

遥『猫だろ』

湊「…図書館は?」

遥『普通に…調べものと印刷だ。アップデートがあるから追い出された』

湊「コンビニは?」

遥『暑いから飲み物を買った』

湊「で…ねこ?見て?」

遥『夏風の家の車で送られた』

湊「なんで返事してくれなかったんだよ!猫の写真撮ったりしてスマホ見ただろ!?」

遥『茶を出されたり…車の中だったり… 時間が、なかった;』

湊「ひどいよぉ、俺大学に戻って必死で探してたのに!ばか!遥のばか!」

遥『うるさい!』

湊「心配したのに!もう暗いしどこかで危ない目に遭ってるんじゃないかって!もおおお、なんだよぉ…」

遥『………』

湊「…疲れた…。ちょっと、ここで休んでから帰る。中華めん茹でればすぐ食べれるから…食べてていいよ」

遥『おい』

湊「汗めっちゃかいたし…涼んで帰るから。じゃ」

ピッ

湊「ばっかあああちくしょうなんだよばかああ!あー、めちゃくちゃ取り越し苦労じゃん…」

湊「(とはいえ、逆の立場なら遥は怒っても心配まではしないんだろうけど)」

湊「はぁ……」

湊「まぁ…あれだ、俺も最初からグループLINEしとけば、夏風が返事寄越したかもしれないし…」

湊「(普通のカップルって、こんなもんなのかな)」

湊「(もう大人だし、いちいち門限気にしてらんないのか…)」

湊「(っていうか、俺が怒るのは夕飯が遅れるからとか無駄になるかもとかじゃなくて、単に心配なだけなんだけど…)」

湊「(そういうのを束縛って言うのかもな…。遥もちっちゃく謝ってたし、いつまでも意地張ってる場合じゃ…)」

湊「(いややっぱ納得できない…)」

湊「(いやいや、だからここはひとつ大人になって…)」

ぽつ…

湊「あ」

ぽつ…ぽつ……

湊「雨……そっか、夜から降るって言ってたな」

湊「傘も持たないで吹っ飛んで来ちゃったからな…」

ぱしゃっ

湊「ん……?」

遥「っ、は……」

湊「!?」

遥「!いた……」

湊「え、なんで!?まぜそばは!?」

遥「はぁ、はぁ……」

湊「ちょっ、走ってきたのか…?大丈夫?」

遥「……、夕飯なんか、お前が作れ…」

湊「………」

遥「どうせ…、自分で作ったって…自分で食べたって、うまくもない…」

ぽつ…ぽつぽつ…

遥「ん」

ばさっ

湊「あ、傘……ありがと」

遥「………///」

湊「……ひとつしか、持ってこなかったんだ(笑)」

遥「……持ってると、思った///」

湊「誰かさん探すのに夢中で飛び出してきたからな」

湊「(傘立てに俺の傘あったの、見てるはずなんだけどなぁ)」

湊「俺が持つよ。傘」

ぐいっ

湊「帰ろ。うち着いたら見せて、子猫」

遥「……ん///」

ぱしゃ
ぱしゃっ

湊「猫の前に、とりあえず夕飯か。あ、その前にシャワーだな。俺も遥も汗だくだし」

遥「蒸し暑い…」

湊「な。この湿度じゃ雨に降られたほうが涼しいかも」

遥「……出たいなら、出ろ」

湊「やーだ。遥こそ嫌なら傘出てもいいけど?(^^)」

遥「ここまで来て…濡れたくない(-.-)」

湊「うんうん。汗だくな遥…ちょっと貴重だし(^q^)」

遥「は?(怒)」

湊「猫の前に夕飯、の前にシャワー、の前にちょっとだけ触っても…」

ドンッ

湊「ぐえっ、うわっ濡れる!」

遥「風邪引け(スタスタ」

湊「待って!傘入れて!;」


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