:: 人間湊と淫魔遥3
2017.10.16 (Mon) 21:44

・続きの続き。ハピエン


湊「お帰り。……どうした?顔色悪いぞ」

遥「…別に」

湊「別にって顔じゃないだろ。なんかあったのか?」

遥「…お前が心配してるようなことじゃ…」

湊「そりゃ、ちょっとの間だったしそうなんだろうけど。…風呂、沸いてるから。ゆっくり疲れとってこいよ」

遥「……」

バタン

遥「(あいつは…優しい)」

遥「(今更か…そんなの)」

ちゃぷん

遥「(…そういえば)」

『ひとりで心細かっただろ。もう大丈夫だからな』

遥「あいつに触られるのは…平気だったな」

遥「(なんで……)」

『唐揚げ、次はもっとうまく作ってやるからな』
『ほら、そんなところで寝てたら風邪引くぞ』
『眠れないのか?じゃ、お喋りでもする?』
『就活が嫌なら、家事教えてやろうか?そしたら俺が家政婦に雇うから』

遥「あ……」

遥「(…そう、か)」

遥「堕落してたのは……俺のほうだ…」

〜〜〜

湊「すぅ……」

遥「(寝たか…)」

ばさっ

遥「(羽も久しぶりに出したな)」

遥「(それくらい、ここに長居して…)」

ふわっ

遥「(行く宛なんかない。でも…ここにはもう、いられない)」

遥「(こいつに堕落が気づかれるのも、時間の問題だ。なら…)」

遥「(自分から、出ていったほうがいい)」

遥「……」

湊「ん……」

遥「(世話に、なったな)」

遥「(…書き置きだけ、していくか)」

そっ

遥「(さよ、なら………みな、と)」

ばさっ

遥「っ……」

遥「ふ、ぅ…っ…」

遥「(人間として、ずっと一緒に暮らせたら…)」

遥「(いや……、そんなの、あるわけない)」

〜〜〜

遥「(夜が明けたな…)」

遥「(結局、寝られなかった)」

遥「(目が覚めたら……あいつは、怒るか…?)」

遥「(むしろ、負担が減って…喜ぶか)」

遥「(人間はこいびとを作るのに…あいつは女に人気がある割に、見なかったな)」

遥「(俺がいなければ、堂々と連れてこられる…)」

ばさっ

遥「帰るか…魔界に」

遥「(今は半人前でもいい。もう一度、学び直してから…その時は、ここじゃないどこかへ来ればいい)」

遥「(それまでには、他人に…触れるように、なれるのか…)」

ブーン……

遥「なんだ…頭の上がうるさい…」

遥「(!?あれは……へ、りこぷたー…?)」

翼「ファッ!?い、いたぞぉ!茶髪の天使だっっ(*´ω`*)」

遥「(天使………?;)」

翼「本当だとも!番地は2-3-16…」

遥「(電話してる…?)」

遥「(!まさか……)」

だんっ

湊「見つけた!桜井っ!!」

遥「!な、んで……」

湊「くっそ、屋根なんか上がるなよな!仕方ない、電柱から飛び移るか…」

ひょいっ
ぴょんっ

湊「っの馬鹿!勝手に出ていくなよ!何がさよならだ!ふざけんなっ」

ぎゅっ

遥「!」

湊「俺がなんかしたなら謝る!だから、戻ってこいよ…!」

遥「っ、ちが……そんな、ことじゃない…。俺は…っ」

湊「知ってるよっ、人間じゃないことくらい!」

遥「え……」

湊「夜中、ベランダすり抜けて忍び込んできたの知ってたんだ。その時は何かと思って寝たフリしてたけど…後からホテル街で絡まれてるの見て、たぶん淫魔か何かだろうなって…」

遥「……なら、わかるだろ。もう…ここにいるわけには…」

湊「そんなの関係ない!お前が人間だろうが悪魔だろうがどうだっていい!俺はただ…一緒にいたいだけなんだ…」

遥「なんだ…それ…。そんなの、お前のほうが、堕落…」

湊「してるよ。ほら」

するっ

遥「!それ…」

湊「この手首の痣、いつの間にかできてて消えないし変だなって思ってたんだけど。よく見ると桜っぽいよな。それでわかったんだ。もしかしたらそういうことかな?って」

遥「じゃあ……」

湊「そ。俺はお前が好きなの」

遥「…………」

湊「あー…と。そもそも俺のところに忍んで来たわけだし、淫魔的に同性愛はNGじゃないんだよな?」

遥「お前のところに行ったのは…女性型に、なるつもりで…」

湊「Σえ、じゃあアウトなの?」

遥「別に……悪くは、ない…」

ぽろっ

遥「ぅっ……ひ、っく…」

湊「どうした?そんなに…俺を堕落させたのが嫌か?」

遥「嫌なわけ、あるか…っ……だらく、したの、もっとはやくいえ…っ」

湊「あーもー…泣きながらそういうこと言うのかわいすぎだろ」

ぎゅうっ

湊「……ほんとの名前、訊いてもいい?」

遥「…はる、か」

湊「好きだよ、はるか。ずっとはるかと一緒にいたい」

遥「…ばか」

湊「帰ろう?毎日ご馳走作ってあげる」

遥「……考えてやる…」

遥「(もう、俺は……)」

遥「(一生出来損ないでも、半人前でも構わない…)」



翼「おい小宮っ、天使を離せ!!おい!無視するなっっ(´;ω;`)」


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