:: 凌かり/変態×天然
2013.06.09 (Sun) 03:27

・凌也が変態という名の紳(ry
・かりんは天然培養


「俺は今とても困っている」

「ほぇ」

ある休日のこと。ちょこんと正座するかりんに、いやに神妙な顔つきで凌也が迫る。吐息すらかかる距離と言えば非常にロマンチックだが、実際かなり鬱陶しい。息がちょっと荒い気がする。

「萌えとはいったい何なのか。成島曰わく、心にズギュンとくる衝撃を例えた言葉らしいが、もえ、モエ、moe……俺の辞書にはないようだ」

「もえ……?」

「それを知るべくお前には協力を頼みたい。いいか」

「は、はい。僕にできることでしたら」

これが天然のかりんでなければ"きめーんだよ変態が!"と罵られて当然の頃合いである。げほっごほっ!とあまりの興奮に思わず咳き込み、凌也はこくりと頷いた。

「そうか、助かる。なら、まずはこれを被れ」

「ねこさんの耳ですか?」

気に入った子には男女問わず被せるという、佳奈子の私物のひとつである猫耳。凌也がどうやって彼女から借りたかは知らないが、おそらく食べ物との等価交換だろう。佳奈子はあれでいて食にがめつい。非常に。

「被ればいいんですか? んしょっ」

すぽん、と茶色のもふもふした耳がかりんの頭部に乗る。

「あの、先輩? えっ、具合でも…」

「いや、大丈夫だ。ズギュンどころではなかったが」

うつむいた凌也は口を押さえ、小さく震えている。これが歓喜の震えであるとは知らず、かりんは心配そうに顔を覗き込んだ。

「本当ですか? あっ、僕ねこさんなのにごめんなさい。じゃなくてっ、ごめんにゃさい…」

「ぐっ……」

猫かりんから見事に心臓を射抜かれた凌也は、思わず床に倒れ込む。ほにゃー!と更にかりんが慌てだした。

「ふええっ、やです! えとっ、救急車ぁっ」

「う……待て。俺はここで、命を賭してでも萌えの意味を探求しなければならない」

「先輩……」

うるうると瞳を潤ませ、かりんは凌也の手を握って頷く。

「そこまでして、夢を追い続けるなんて……僕にお手伝いできることがあったら、何でも言って下さい。…あ、じゃなくてっ、言って下さいにゃあっ」

「ぅぐっ……」



「なぁ、あれやばくね? 守山が赤い海に溺」

「……見なかったことにしましょ」


***
夜中のテンションこわい。これがむっつりの実力ってもんだ

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