:: ぬこになった遥
2018.03.08 (Thu) 22:34

・猫になった遥。よくあるあれ。


遥「ふざけるな!」

湊「ふざけてるのは遥だろ。ったくもー…全然人の話聞いてないじゃん。何なんだよ」

遥「聞く必要なんかない。…出てってやる」

湊「あーそう。はいはいどうぞ」

遥「っ……知らない、からなっ…」

バタンッ

遥「(なんで、こんなことに…)」

たったっ

遥「(寒い…。どこかコンビニにでも…)」

にゃあーん?

遥「!」

遥「ねこ……?」

にゃ?

遥「……お前に構ってる余裕はない」

にゃっ!にゃにゃっ

遥「!やめろ、飛び付くな――」

〜〜〜

遥「(……ん…?)」

遥「(?どこだ…公園?)」

遥「(家の近くの…。そうだ、コンビニに…)」

てしっ

遥「………?」

てしっ

遥「…………!?にゃっ」

遥「(なんだこれ、前足…!まさか…っ)」

ちゃぷっ

遥「(水溜まり……猫しか、映ってない)」

遥「(なんで猫なんかに……)」

遥「うにゃ……」

遥「(くそ……どうやったら戻れる…)」

ぐきゅるる…

遥「(腹が減った…夜になればこの辺りも冷える)」

遥「(…とりあえず歩くか)」

てしてし

遥「(……あいつ、まだ怒ってる…か?)」

遥「(携帯も持たないで飛び出してきたからな…)」

遥「(!あいつ……)」

湊「はー……。どこ行ったんだろ」

遥「(まさか…探して……?)」

たったっ

遥「にゃっ、にゃあ……!」

湊「ん……?」

遥「(くそ…これじゃ伝わらない…)」

湊「お前野良か?震えてるじゃん、寒いの?」

遥「にゃ、あ……」

湊「よしよし。ほら、おいで。上着でくるんであげる」

ぎゅっ

遥「(あったかい……)スリスリ」

湊「気に入った?…寒い中悪いけど、もう少し付き合ってくれるか?お前みたいに寒くて震えてる子がいるかもしれないから」

遥「にゃ……」

遥「(やっぱり、探してたのか…)」

〜〜〜

湊「うー……どこ行ったんだほんと。おかしーな」

遥「にゃ、にゃっ」

遥「(帰らないと、お前こそ風邪引くぞ…)」

湊「まさか…あの榛って奴のところに…( ゚皿゚)」

遥「にゃぁあ!!」

湊「え、ち、違う?うーん……」

遥「にゃぁ……」

湊「あ、ごめん。お腹減ってるよな。行き違いになってるかもしれないし、一回帰ろうか」

てくてく
ガチャ

湊「やっぱ帰ってないか。……お前も寒そうだし、今日は寂しいから…一緒にいてくれるか?」

遥「にゃ……」

ぺろぺろ

遥「(そんな顔、するな…)」

湊「うん、ありがと。ほら、こたつ入ってて。ごはん作ってくる」

ぬくぬく

遥「(あったまる…けど)」

遥「(あいつの上着のほうが、いい、ような……///)」

湊「鶏肉茹でたのでいいかな。ご飯もあるし、薄味のねこまんまか…。俺は…いいや、食べる気ないし卵かけご飯食べよう」

遥「!にゃ!にゃっ」

湊「え、だめ?…でもさ、一緒に食べてくれる人がいないと手の込んだもの作れないんだよ」

遥「フーッ!カプッ」

湊「いたたっ!もー…わかったよ、ちゃんと作って食べればいいんだろ!」

遥「(そうやってすぐ、自分のことを粗末にするんだろ…)」

遥「(だから……、)」

湊「だから喧嘩になっちゃったのかな…」

遥「!」

湊「今月、食費が思ったよりかかっちゃってさ。でも遥にはおいしいもの食べさせたいから、代わりに自分の昼飯とか適当にしてたんだよな。俺はそれでも全然構わなかったんだけど。……うん、そうだ。逆のことやられたら、俺こそ絶対怒るくせにな。むしろそれで怒らない遥なんて、俺が好きな遥じゃないし。ふふ」

ひょいっ

遥「Σにゃっ」

湊「ありがとな。お前の分も頑張って作るから、食べながら話聞いてくれるか?好きな人の、話」

遥「……にゃ…///」

〜〜〜

遥「(鶏肉うまかった…)」

湊「ご馳走さま?水ここに置いとくよ」

遥「にゃ……ペロペロ」

湊「ふふ、かわいーなーお前」

くしくし

遥「にゃう……」

遥「(耳の裏、気持ちいい…)スリスリ」

湊「猫にしては甘えたがりだな。ほらほら、お腹も撫でてあげるよー」

さわさわ

遥「Σふにゃっ」

湊「あ、お前オスだったんだ(笑)」

遥「!フーッ」

湊「ちょ、痛い痛い!噛みつくなって!」

遥「(牙が当たる…のか。どのくらいが痛いのかわからない…)カプカプ」

湊「あれ、今度は甘噛み?うん、それくらいなら大丈夫」

遥「……カプッ」

遥「(別に、甘えたいわけじゃない…//)」

湊「……遥、今頃何してるかな」

遥「……」

湊「泣いてないかな…」

遥「……にゃ、う」

湊「ん?」

ぴょんっ

湊「わぷっ!なんだよ、いきなり飛び付いてきて…」

遥「(お前がいつまでもそんな顔してるからだ…)ペロペロ」

湊「もー、くすぐったいって。…ふふ。あーあ、もういいや遥なんてしーらないっ。寂しいからお前と浮気しちゃおっかなー」

ぎゅっ

遥「Σにゃっ」

湊「お、その怖がり方遥にそっくり。ね、ちょっとだけだからさ。ちゅーしていい?」

遥「にゃ、にゃう……///」

湊「あはは、困り方も似てる。あれだけ人のことぺろぺろしてたんだし、今度は俺の番。いいだろ?」

遥「(馬鹿か…こいつ…///)」

ちゅっ

ぼふんっっ

遥「Σ!?」

湊「Σ!?」

遥「も……どった……;」

湊「Σぅええええぁえ!?な、なんで!?あれっ、猫は!?」

遥「うるさい!」

湊「猫!猫にちゅってしたら遥が……っ!?」

遥「浮気相手がそんなにいいのか」

湊「浮気って……ち、違う!あれは寂しさを紛らわすためのアニマルセラピーだって!(´;ω;`)」

遥「猫がいいなら猫と住めばいい…」

湊「やだ!」

ぎゅうっ

遥「っ、離せ…」

湊「ごめんなさい!」

遥「は……?」

湊「遥のことも大事にする!自分のこともそれなりに大切に、する…から、もう仲直りしよ……?この寒空の中、どっかで遥が凍えてるかもって思うだけで…怖かった」

遥「………わかれば、別に…」

湊「うん……ごめん。あと、ありがと」

遥「何が」

湊「いろいろ。舐めたりじゃれたりして慰めてくれたじゃん(^^)」

遥「!ばっ……違う、あれはっ…」

湊「あれは?」

遥「あ……あにまる、せらぴー…だ…///」

湊「ふふ。……じゃあもう少しだけ、セラピーして?」

遥「は?」

なでなで

湊「耳。しっぽ。まだ、遥の体に残ってるよ?」

遥「Σ!な、なんでっ……」

湊「ほら、キスしたら一応猫化は解けたじゃん?ってことは、もっともっと触れ合ったらちゃんと元通りになるんじゃない?(笑)」

遥「や、やだ……こんな…ぁっ///」

ぺろぺろ

湊「耳ふさふさでかわいいね。やっぱり敏感なの?」

かぷっ

遥「ふにゃ……っ///」

湊「なにそのかわいー声。あーもーだめだ、朝までにゃんにゃんしよ?」

遥「誰がするかっ……///」


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