:: 子はるとの出会い
2013.12.27 (Fri) 12:31

湊「大学って春休み長いよなー。今のうちに地元でバイトしとこ」

母「あら、じゃあ家にいる時間は長いのね」

湊「まーね。家事はやっとくよ。優太が小学校から帰る時間に合わせておやつも作ってやれるし」

母「あのね、湊には言ってなかったんだけど……ちょっとお願いがあるの」

湊「へ?」

母「私、病院で事務の仕事してるじゃない? 昔からお世話になってた綾子さんが最近入院したのよ」

湊「Σえ! 綾さんがっ? 大丈夫なのかよ」

母「ええ。風邪なんだけど、肺炎の心配もあるから大事を取って入院してるのよ。経過も良好だし、二週間以内には退院できるわ」

湊「そっか…よかった。大学で引っ越してからは会わなくなっちゃったけど、俺もお世話になったし」

母「それでね。綾子さん、お孫さんがいるの」

湊「マジか、知らなかった。何歳?」

母「今年で三歳かしら」

湊「へー」

母「でも綾子さん、お孫さんと二人暮らしだったから、今はそのお孫さんも病院で預かってるんだけど…」

湊「? いたずらっ子で困るとか?」

母「ううん。ずっと黙ってる子なの。静かなのはもちろんいいんだけど、大人の言うことは全然聞いてくれなくて^^;」

湊「綾さんの言うことは聞くんだろ?」

母「前はそうだったんだけど、病院から出られないっていうストレスか…環境が変わったからか、あんまり…なのよ。綾子さんも病状に関わるといけないから、心配かけちゃうのもね…」

湊「そっか…」

母「だから、あんたにちょくちょく来てもらってその子の相手をしてほしいの」

湊「………はい?;」

母「優太の面倒も見てきたんだし、慣れてるでしょ?^^」

湊「いやいや! 何言ってんだよ。てか三歳なら託児所かどっかに…」

母「それができたら苦労しないわよ^^;」

湊「うー……」

母「ね、バイトの合間でいいから。優太はその間、学童保育に預けるつもりだし」

湊「まぁ……それなら…」

母「じゃあよろしくね☆」

湊「ちょっ、待て! まだやるとは言ってな……っ」

母「でも、綾子さんのお見舞いは行きたいでしょ? 明日、一緒に行くわよ」

湊「ああ……わかった」

〜〜〜

綾「まぁまぁ、小宮くん。お久しぶりだわ^^」

湊「ご無沙汰してます。具合、どうですか?」

綾「おかげさまですっかりよくなったわ。明日にでも退院したいくらいですよ」

湊「そうですか、安心しました^^」

?「ぶー……」

湊「ん…?(゜゜)キョロキョロ」

綾「あらやだ、だめでしょう。今はお昼の時間なんだから、お給食、食べてきなさい」

?「まずいの…たべたくない…(`Д´)」

綾「だめよ、わがまま言わないの」

?「(ぷいっ)」

綾「あ、遥! もう…。ごめんなさいね」

湊「いえいえ。お孫さんですよね?」

綾「ええ。前はおとなしい子だったのだけど……両親と離れて、私もこんな状態で、すっかり反抗期になってしまったの。病院の方たちに迷惑をかけていないか心配で…」

湊「だ、大丈夫ですよ、綾さんのお孫さんですし。俺、ちょっと友達になってきますねっ」

たったっ

湊「おーい。ちびっこー」

?「(`Д´)」

湊「あ、めっちゃ怒ってる」

?「だれだおまえ…」

湊「お前って……仮にも年上にそれはないだろ。俺は小宮湊。綾さんには昔からお世話になってるから、お見舞いに来たんだ。お前は? 遥だっけ」

遥「かってによぶな…(`Д´)」

湊「遥って女の子みたいだけど、話し方からすると男…だよな?;」

遥「おとこに…きまってる。おまえのめ、ふしあなか」

湊「おーう…これはなかなかの問題児…」

遥「ふん…」

湊「そういや、昼ご飯食わないのか? まぁ、病院食はたかが知れてるけどさ;」

遥「あんなの…たべたくない…」

湊「んじゃ何が食べたいんだ」

遥「なにもない!(`д´)」

ぐきゅるるる…

遥「Σ」

湊「あ、そう。俺弁当食うからじゃあな」

遥「べんとー…!」

湊「うん、まぁ自作だけどな。早起きして作ったんだ。唐揚げ卵焼きお浸し煮物焼鮭…」

ぐきゅるるる…

遥「…(´;ω;`)」

湊「でもお前は食べたくないんだろ? じゃ、仕方ないな」

パカッ

遥「! たまご…からあげ…(´;ω;`)」

湊「(もぐもぐ)」

遥「ふぇ…(´;ω;`)」

湊「託児所でご飯出たんだろ? それ食べろよ」

遥「ふぇぇ…やだ…、つめたいめし、やだぁ…(´;ω;`)」

湊「そっか。それはさておきこの弁当、保温効果で冬でもほっかほか…」

遥「ふぇぇぇっ(´;ω;`)」

湊「…食べたい?」

遥「!」

湊「食べたいのかなー遥くんは」

遥「っ…いらない…(´;ω;`)」

湊「あ、そ。実はお近づきのしるしに、弁当もうひとつ作ってきたんだけど…」

パカッ

遥「!」

湊「味気ない病院食には飽きただろうと思って、子供向けの弁当作ってみた。昔、俺の弟が幼稚園通ってた頃に作ってやったやつ」

遥「つくね…! だいこんのにもの…! はんばーぐ…! いちご…!(゜゜)キラキラ」

湊「野菜も食べられるようにみじん切りしてハンバーグに混ぜたり。はは、懐かしいな。でも遥くんは食欲がないらしいから、俺がもう一個食べるか…。残念だ」

遥「うう…(´;ω;`)ウルウル」

湊「つくねもひとつひとつ丸めて、いちごは朝摘みで、昨日の夜から準備してたんだけどな。ほんと残念だなぁ。でも仕方ないよな、無理に食わせるわけ…」

遥「っ、たべる! たべてやるっ(´;ω;`)」

湊「えっ、いいよ無理しなくても^^」

遥「ぐすっ…たべもの、むだにしたくない…から、しょうがない…から、たべてやる……よこせ…(´;ω;`)」

湊「ほんと? 嬉しいなぁ〜。はい、スプーンね」

遥「あむっ。……(゜゜)!」

湊「お口に合ったか?」

遥「……くちに、あった…(´ε`*)」

湊「よかった^^」

〜〜〜

綾「あらあら! 遥!」

遥「…///! (ぷいっ)」

湊「おかげさまで仲良くなれました^^ ね?」

遥「なかよく、してやってる…だけだ…//」

湊「はいはい^^」

綾「まぁまぁ…この子は今まで、誰にもおんぶさせなかったのに…」

湊「せっかくですから、このままちょっと散歩してきますね。あっ、病院の敷地からは出ないので大丈夫です」

遥「そと……いくのか…(´・ω・)」

湊「うん。出たかったんだろ?」

遥「………うん…(´;ω;`)」

綾「遥…ごめんなさいね…」

湊「これからは、いつでも俺が連れて行きますよ。な?」

遥「ん……(´・ω・)コクッ」

湊「じゃ、行くか。裏手にいろいろお店あったから、軽く見てこよ」

遥「いく……(`・ω・)」

湊「よしよしその意気だ。出発ー^^」


***
病院編。綾子退院後も湊は遥の面倒見てたりしたけど、大学側に帰ってあっちのバイトするかなーと言ったら遥が泣き止まず、春休みの間だけ預かることになりました、と。


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