:: 「月魚」感想
2019.07.22 (Mon) 23:23

腐友のNさんが「読んで!お願い読んで!(泣)」と必死に勧めてきた本、それが「月魚」。かの有名な三浦しをん氏の一作である。どのへんが有名なのかはこの界隈にいれば何となくわかるはず。
読む前の私「しゃーないなヒプマイと交換したるわ」
読了後の私「ましきちゃん……尊い…(拝む)」
ちなみに読み方は「げつぎょ」。

【人物】
・瀬名垣太一(せながきたいち)
25歳。店を持たない、卸し専門の古本屋。子供の頃に真志喜と出会って即行で恋に落ち、ちょくちょく本田家の店へ遊びに来ている。価値のある古本を探し当てる能力に長けており、同業のベテランたちとも互角以上に渡り合っている。運搬などの力仕事が多く、かなり鍛えている様子。ちょっとした不良だが女の子には優しい。ファッションセンスが独特。喫煙者。
・本田真志喜(ほんだましき)
24歳。老舗の古本屋「無窮堂」の若き主。瀬名垣と共に、祖父から古本についてをしっかりと学んできた。経験が物を言う業界であり、若者は何かと小馬鹿にされやすいため、基本的には着流し姿で一人称も「私」。色素が薄く、茶髪で色白とのこと。ぱっと見では男女の区別がつかないことも。子供の頃は瀬名垣を「太一」と呼んでいたようだが現在は名字呼び。…と見せかけて、実は…

【萌えどころ】
・大事なところはあえて書かれていない
→ご想像に、というやつ。隠語でも何でもぱぱっと書かれちゃう小説が多いなか、(一般小説というのももちろんあるが)間接的な描写だけで何があったか悟ることができるのがまた萌え。
・信頼と実績の幼馴染カプ
→冒頭から既に危うい
「明日、吸い殻ちゃんと拾えよ」⇒「へぇ、泊まっていっていいんだ」⇒首筋がうっすら桜色に…(本文P10)
・距離感に悩む大人
→子供の頃は純粋に互いを好きでいたのに、その後のとある事件によって真志喜は「瀬名垣」と呼ぶように。今も二人はその事から向き合えずにいる。
・あっ(察し)
「…私が名前で呼ばなくなっても、おまえは何も言わなかった」
「呼んでるだろ、名前で」
「そうじゃなく……こうしてしゃべっているときのことだ」(本文P63)
じゃあどういう時に名前呼んでるのかって…。受っこが「おまえ」って言うのも好き。
・ハッピーエンド+おまけが充実
→過去の事件と向き合い、それぞれ決着をつけた後で、晴れて二人は結ばれることに。ううん、描写が素晴らしい。おまけで高校時代とお祭りのエピソードが読めるのもうれしい。

個人的に、最近の隠語露出なんでも書いちゃうそのほうがわかりやすい!な小説は確かにわかりやすくて頭空っぽでも読めるのだが、欲求に直結してしまう分「萌え」度は下がるので、時々はこういうので潤ってみてもいいかなと。


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