「なまえ、お腹すいた」


ゆさゆさと体を揺り動かされ、目を覚ます。だるいほどの眠気に、時計を見れば午前4時。起きる気力など到底なかった。


「自分で何か作ってよ」

「…料理、したことない」

「簡単なものなら出来るでしょう?起きたらちゃんとしたの、作ってあげるから…」

「簡単なもの?」


小首を傾げ考え込む彼に、いらいらと感情が高ぶる。冷蔵庫にあるもの、なんでも良いから見てきて!絞り出すように喉の奥から伝えれば、彼はすぐに部屋を飛び出した。


「なまえ。卵、あったぞ」


枕に顔を埋めたまま待っていると、わざわざ彼は卵を持ってきてくれた。


「良かったねー。じゃあ、それで卵焼きでも目玉焼きでも好きなもの作りなさいよ」

「…やったことがない」

「じゃあゆで卵。これなら出来るでしょう?水に塩を入れて、あっためるだけ。簡単」

「…ん、わかった。やってみる」


意思を固めたように、彼は部屋を出ていった。やっと静かになった部屋で、落ち着いて眠る体勢に入る。眠気と意識の狭間をさ迷うのを、邪魔してくれたのは、彼ではなく雷のような爆発音だった。


「な、なに?どうしたの?」


急いで下に降りると、彼が呆然と立ち尽くしていた。目線の先には電子レンジらしきもの。まさかと思いながら、彼に聞く。


「なにをしたの…」

「なまえ…。電子レンジに卵を入れたら、爆発したんだ。テロか?」


不安そうに彼は私に抱き着いてきた。でもなぜか、私の頭は冷静で。


「早く片付けなさい」


一言いうと、彼は怯えたように動いた。私はどんな表情をしていたのだろう。とにかく今は、床に散らばった可哀相な卵を、一つ一つ拾っていくことに専念した。それが終わると、卵を見るのもうんざりそうな彼に、サンドイッチを作った。


「凄い…、なまえは凄いな」

「ははは、そうだね。君から見たらね」


煙をあげる電子レンジは改くんにメールをしたら、すぐに直してくれた。

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