どうしてアツヤが死んだのか。今の今だって疑問に思う。シロウとアツヤとおじさん、おばさん。彼らが事故に遭った日。私がふらつく足で病院に行くと、アツヤの息はまだあった。けれど彼の目にも鼻にも口にも管が挿してあって、とても苦しそうで。現実という世界に、私は泣き叫んだ。

シロウは別の部屋で安静にしている。おじさんとおばさんは即死。なら、アツヤが死んだら誰がシロウを守るの。私が部屋に入ると、無表情の医師たちは部屋から出ていった。緊急を要するべき状態のアツヤから、離れていく医師。その意味は幼い私にも十分わかる。

ゆっくりと深い呼吸を繰り返す彼が、これからどこへ向かおうというのか。考えただけでもゾッとした。広大な雪景色の中、一人佇むシロウのイメージだけが頭を支配して、気が狂いそうになる。ずっと側にいてくれると、ずっと共にいてくれると、約束していたのに。ただ、純粋に。純粋に、愛していたのに。

そっと彼の頬に触れるとまだ温かかった。どうして彼が死ななければならないのか。理解できる日は来ないだろう。止まらない涙が彼の布団にいくつも染みを作り、濡らしてゆく。

彼は最期に大きく息を吐き、口元を緩く結んで旅出った。それとほぼ同時にシロウは目を覚まし、大きく息を吸った。運命とはどうしてこんなにも残酷なのか。私は彼が首に巻いていたマフラーを手に取って、シロウの病室へ向かう。アツヤは微笑んでいてくれた気がした。
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