アツヤはとってもヤキモチ焼きだ。 僕となまえが話しただけで、むっとする。それなのに素直じゃないから、なまえが話しかけても知らん顔でそっぽを向くんだ。矛盾という言葉がよく似合うと、僕はいつも思っている。 「あつや、」 あんだよ、なまえかよ。用事があるならさっさといえよな。 「一緒に買い物に行こうって約束、忘れてないよね」 …ったく、仕方ねーな。付いてってやるから、早く仕度しろ。 「あつや…」 嫌そうな顔のわりには、なまえに頼りにされて嬉しそうで。兄貴、行ってくるな!なんて、いつもは言わないようなことを僕に言う。 「気をつけてね、アツヤ」 「…しろう?」 「…なまえ、僕は一緒に行けないよ。アツヤと二人で行っておいで」 「…そんなの無理だよ」 「だってアツヤはヤキモチ焼きだからね。僕なんかお邪魔虫だよ」 「どうしてそんなこと言うの…?」 なまえは信じられないものを見るかのように僕を見た。その瞳が突き刺さるように僕を責める。 「あつやはもう…」 俯くなまえは、何を言っているのだろうか。 青白い顔のアツヤは、初めてなまえに素直になった。抱き着かれても暴れないし、喚くこともしない。ただなまえを受け入れた。僕はそれが羨ましくて。なぜだか知らないうちに、僕もヤキモチ焼きになってしまったようだ。 まるで、 アツヤのように。 |