人間は中身だと誰かが言うけれど、そんなことは嘘だとオレは思う。だって、この地球上に生きる、星の数ほどの人間たち皆に、オレの中身まで完璧に知ってもらうなんて不可能だからだ。それに、もしもそれが可能だったとしても、必ず反りが合わない人間が出てくる。やっぱり人は、全てが印象で決まるんだ。


「なまえはさ…」


オレのことどう思う?なんて、聞いてみたところで、どうにかなるのだろうか。オレにとって、なまえは揺らぎのない安らぎだけれど、なまえにとってのオレが、おんなじように捉えられている保障はない。もし、うざいとかきもいとか、はたまたしんじゃえとか。そういうふうに思われていたらどうしよう。…オレはそれが怖かった。怖くて、恐ろしくて、人の目を疑うことしかできなくなった。


「なに?東条、何か用?」

「…いや、なんでもない」

「はは、どうした?君はいつもそうだね」


なまえは不思議そうにオレの目を見て、頭を撫でた。オレはそんな優しいなまえが好きだ。でもなまえはオレをどう見ているんだろうか。そしてオレは、


「……どうしてさ」

「え?」

「東条は…」

「………」

「…そんな悲しい目で私を見るの?」





どんな目で彼女を見ているのだろう。
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