「羽縞って、バスケが好きなの?」

「あぁ、好きだ」

「じゃあバスケと私、どっちが好きなの?」

「もちろん、バスケだ」


その返答にあらら、と首が傾いた。まぁ始めから、にぶちんな彼にお洒落で気障な台詞を期待していたわけではないけれど、即答されると流石にさみしい。


「もー、少しくらい悩んでくれたって…」

「悩む余地なんてないな」

「あっそう!」


そんなにもはっきりと言い切らなくたっていいのに。なんだかなぁと煮え切らない気持ちで背を向ける。そしたら羽縞は笑うのだ。


「はは、勘違いすんなよ。なまえは好きなんかじゃない」

「なっ…ど、どういう…」

「大好きなんだよ、なによりもな」


だから好きっていう分類はできない、なんてさ。よく分からない言い分を、君は自信を持って告げた。


「…意味が、わからない」

「つまりな〜…、好きなのはバスケ。大好きなのはなまえってこと。簡単だろ?」


何が簡単なんだか…。羽縞はあははと笑うけれど、私は眉毛がむっとよる。それを緩めるかのように、彼は額にキスをした。
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