「君の髪は白いんだね」

「…うん、白いよ」

「気持ちが悪いね」

「…そう、かな」

「そうだよ。気持ちが悪いよ。人と違う色なんて」


彼女は僕の方を見て、軽蔑したような雰囲気をみせた。僕は悲しくて泣きたくなったけれど、よくみたら泣いていたのは君の方だった。


「どうしたの、なまえ?」

「…ごめん、士郎。本当に気持ちが悪いのは、人と違うことを恐れている私の心の方なんだ」

「そんなことは、」

「どうして君は、人と違っても笑っていられるのかな。…私には、無理だよ」

「えっ…」

「どうしたら、自分を殺してしまいたくなくなるのかな。私はすぐに死にたくなる。どうしてなんだろう。士郎の髪の毛がうらやましいのに。綺麗でずっと触れていたいのに。私の頭が否定するの、差別するの。気持ち悪い。私はどうしてこんなにも気持ち悪いの。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。私はあなたが気持ち悪いのではなくて、私自身に対して気持ち悪いといっていたのかもしれないな。ほんと、いかれてるよね」





他と違うことを恐れるあまり、





己に恐怖してしまうんだね。でも僕は思うんだ。画一化した世界なんてつまらないと。他と違うんじゃない。本当に1番、気持ちが悪いのは、誰かと同じを求める、この世界なのかもしれないよ。
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