「どうして君はバンダナをしてるんだい?熱でもあるの?」

「なんでバンダナしてると熱があるってことになるんだよ」


むっとしたように、口を尖らせる高杉。くるくると髪の毛を弄んではいるが、別に機嫌が良いわけではないのだろう。私が察するに、あれは苛々したときにする動作。他愛もない会話のはずだったのに、どうしていつもこうなってしまうのかな。まじまじと見つめていると、はっと目をそらされた。


「な、なんだよ。言いたいことがあるなら言えよ」

「…いや、ない」

「な!だ、だったらこっち見んな!」


そんなふうに、赤くなりながら話す彼だが、時折ふと静かになるときがあった。その度に髪をくるくると弄るので、髪の毛にクセがついて。言いたいことがあるのは、君の方だろう?…なんて、なんど思ったことか。


「…高杉。私、帰るよ」

「え?も、もうそんな時間か?まだいても…」

「残念だけど、君と居ても邪魔になるだけのようだ。…ごめん」


君といる時間は好きだ。でも、君は私を見てくれない。どうしてだろう。こんなにも好きなのに、答えてくれない。くるしいよ。かなしいよ。さびしいよ。そんな関係なら、今すぐにでも無くしてしまおうよ。










君の態度は私にとって、凶器だった。










帰り際、ふと目の前が暗くなった。まだ夕焼けの眩しい時間帯だというのに。不思議に思い、目を触ると布の感触。彼のバンダナと同じ生地だった。それからすぐに、ふわりと彼の匂いが漂う。


「お前の態度は俺にとって、凶器だった」


そう言って、彼は続けた。


まっすぐに、ちゃんと見られないくらい輝いた凶器。鋭く尖り、滑らかな刃物。弱い俺に見合うのか、いつも悩んでいた。だけど気がついたよ。失うくらいなら、血を流してでも引き止める。傷つくのが怖いって避けてたら、人の痛みも分からなくなってしまうだろ?…だから、その。恥ずかしくて、緊張して、いっつも髪の毛触っててごめん。これからは、頑張ってみる。だから、





君の声は震えていた。唇は濡れていた。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -