「君の手は冷たいんだね」





ヒロトはそう言って、私の手を握りしめた。そう言う彼の手は、いつもポケットに入れているためか、ほんのり温かくて。冷たい私の手には、じんわりと心地よかった。





「…手が冷たい人は、心が温かいって本当かな」





悲しげな表情を見せまいと、気丈に振る舞う彼だけど、私には強がりにしか見えなかった。どうして弱さを隠すのだろう。きっとその答えは、彼自身分かっていない。分からないまま、虚空をさ迷っているだけ。家族とはなにか、姉とはなにか、仲間とはなにか、敵とはだれか。心は分かっているのに、頭が否定するのだろう。己の心が冷たいと、遠回しに君は言う。それは誰が(何がかもしれない)言わせているの?彼の目は、やはり虚空を見つめていた。


「時間が経てば君の手だって、」


そう言うと、彼はにこりと微笑んだ。
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