「これ、その…やる」


高杉くんはおずおずとお菓子を差し出した。まだ封が切られていないそれは、パッケージの端っこにさりげなく「新商品」と書かれていて。


「へー、ありがとう。こんなの見たことがないな。どこで買ったの?」

「駅前のコンビニ…。今日、発売なんだ」

「なんだ、そうだったのか。どうりで知らないはずだよね。ありがとう、わざわざ買ってきてくれたのかい?」

「べ、別にわざわざとか、そんなんじゃないからな。…新製品だから買ってみたくなっただけだ。本当は俺が食べようと思ってたんだけど、お前がお腹をすかしてそうだからやるんだ」

「えぇー…。ま、ありがとね」


彼は頭に巻いた布を引き、俯いた。その手と髪の隙間から覗く頬は真っ赤に燃えていて。…なぁ君。たしか、チョコは嫌いだったよね。とか、まだ朝だよ。朝ごはん食べてきたんだけどな。とか、そんな言葉かけるにかけられなくなってしまった。

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