そう、君が怒る理由もわからなくないんだよ、もちろん。だって僕ら、さっきまでいい雰囲気だったじゃないか。一つのかまくらの中で寄り添ってさ。手なんかも握りあって。こんな雰囲気で、リードしなくちゃいけないのは僕ら男の方でしょ?だから空気を読んで、ちょっと近づいただけなのに、君はすごく焦ってたね。それが面白くてぐいぐいくっついていったら、君が暴れるんだもん。あんな狭いところで暴れなくたっていいのにさ。そしたら崩れた。案の定ね。小さなかまくらだったもん、当たり前だよ。 「ごめんって」 「…死ぬかと思った、」 「大丈夫。雪崩じゃないんだ、心配ないよ」 「でも、もしかしたらって…」 「うーん…でも僕、君と死ねるなら本望だな」 ぴたりと君は動きをとめた。僕はよかったって安心したけど、君は僕とは違う方向を向いて呟いたね。僕はその言葉を聞いたとき、いままでにないくらい、はっとさせたれたよ。やっぱり僕は、君が好きだ。 「…私は、君がいなくなるのはいやだ」 もちろん僕もだよ。そう言って、頭に乗った雪をはらう。くすぐったそうにする笑顔と、ずっと共にいたいと思った。 |