駄目だ。俺は考えを振り払って、走った。駆け抜け、風が身を裂くたび、俺はがんじがらめの網から一つずつ解放される。逆に言えば、それでしか自我を保てないような状態だった。助けて神様。なぜ彼女はこんなにも俺を狂わせるのでしょうか。好きだとか、愛してるとか。そんな言葉で表現できるものではなく、自分のモノにしたいと、ただ思うのです。


「風丸ー、帰るぞー!」

「円堂。…いや、今日は残っていくから、先に帰っててくれ」


あぁそっか、わかった!無理だけはすんなよ!なんて、1番の無茶キャプテンにいわれて、当たり前だといってやった。その後ろをあの子が大人しくついていく。ちらりと俺を見てから、ぺこりと頭を下げていた。どきっと胸が高鳴るのをおさえつつ、二人の様子を遠目に見ると、そろりと手を繋いで帰っていくところで。夕日に負けないくらい真っ赤な彼女の頬が、やけに印象的だった。


「………頑張るか」


日が暮れてお月様が顔を見せるまで、俺は走りつづけた。その先にはなにが待っているのだろうか。せめて頬を伝うものが渇くまでは、走りつづけようと思った。嫌いになれない痛みも、世の中にはあることを知った。
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