「かっこいいだろ、オレかっこいいだろ!見た見た?」

「そうだね、…うん」

「そうだよな!かっこいいよな!」


はぁぁと恍惚に似た息を零し、やっぱりオレってかっこいいんだな!と一人で納得をするおきたくん。そんな彼は数日前まではごほごほとこもった咳をしていたはずなのに。今やそんなことが嘘のように元気いっぱいだ。生活に張り合いがでると、元気になるおじいちゃん、おばあちゃんの話は聞くけれど、彼もそんな感じなのかなぁと思った。なんにせよ、幼なじみとして体の弱い彼を支えてきた私としては寂しい話ではある。


「円堂も見る目があるよなぁ。オレをスカウトするなんてさ!やっぱオーラの違いだよな!分かるやつにはわかるんだって!」


嬉しそうに話す彼は私よりも白い肌で。正直言えばサッカーなんてして欲しくなかった。どうしても見てほしいと彼に頼まれ、見に行った練習。私には危なっかしくて見ていられなかった。彼の綺麗な白い肌から鮮血が流れ出したときにはもう、失神するかと思ったほどだ。


「どうして今更サッカーなんて…」


ぽつりと呟くと、自分の二の腕をつんつんと触っていたのを止めて、彼はこちらを向いた。


「もっともっと強くなって、かっこよくなって。お前を護ってやるんだ!護られてばっかじゃ、かっこわるいからな!」





彼が執拗に自慢してくる二の腕は。昔のような細くて頼りないものではなく、しっかりと筋肉が付いていた。そこにはもう、私が知るか弱い彼はいなかった。こうして男の子は男の人になっていくんだなぁと、しんみり感じ、大きな背中を見上げていた。
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