嵐の夜に。(脱色・日乱)


そういえば、こんな天気の日は見掛けたことがなかった。


◆嵐の夜に◆



「おい、松本を見なかったか?」
「いえ、今日は見掛けてませんが…」
急に話しかけられて緊張している隊員に、そうか、と呟いた日番谷冬獅郎は、誰の目から見ても不機嫌だった。隊舎を後にし、めぼしい人物に手当たり次第同じ質問をするが、返って来る言葉はどれも同じ。なぜ誰も、松本の居場所を知らないんだ。
目を閉じて、深呼吸を一つ。意識を集中して霊圧を探るが、やはり松本の行方は分からない。
日番谷の不機嫌な理由はこれにある。自分の右腕である松本乱菊が何処を探してもいないのだ。彼女がふらりと猫のように姿を消すことは多々あるが、霊圧を殺してまでいなくなることは無かった。どうも胸騒ぎがする…。

「おや?どうしはったん十番隊長さん、そないな怖い顔して…」
「……市丸」
一番会いたくない人物と会ってしまった。日番谷は更に眉間に皺を寄せ、市丸を睨んだ。腹の底からじわじわと黒いものが湧き出てくる。幼い頃を一緒に過ごしたこいつなら、松本の居場所を知っているかもしれない。だからと言って、市丸に聞くのはどうしても嫌だった。
「……やっぱり雨、降ってきはりましたなぁ…」
言葉につられた日番谷が空を見上げると、それに合わせたかのようにザァーッと空が泣きだした。耳をすませばゴロゴロと遠くで雷鳴まで聞こえる。きっと今夜は雷雨だ…。

「まったく。乱菊は変なところで意地張るんやから…」

「……」

――ああ、そういうことか。

情けないことに、そこでようやく市丸の会話の意図が理解できた。
「乱菊に宜しゅうな〜」
松本の事なら何でも知ってる。そう言いたげに手を振る市丸に腹は立ったが、奴が自分よりも松本の事を理解しているのは確かで、感謝すべきなのに感謝だけはしたくない。そんな複雑な感情を抱きながら、日番谷は踵を返し全力で走り出した。

「ったあく、一人で何やってんだよ!」
見栄なのか意地なのかは分からないが、きっと松本は悟られないよう今までずっと耐えてきたのだ。誰にも頼らず、気配を消し、自室に独りで籠り、ひたすら晴れるのを待っていたのだ。よく思い出してみれば、俺は雨の日に松本と過ごしたことは無かった。何たる失態。もっと早く気付いてやれれば良かった。でもこれからは、絶対に独りになんかしない…。

日番谷は前方に人がいようが、誰かとぶつかろうが、お構い無しに隊舎を目指した。そんなことより、一刻も早く彼女の部屋に行く方が大切だ。部屋の隅で雷に怯える、愛しい君のところに――。

END










初の日乱です。


このカプ、大好きです☆☆
チビッコ&お色気お姉さんペアは秦部の昔からの好物なうえ、更にツンデレ要素も加わっているので俺がハマらんわけがない!!妄想でドンブリ飯食えます!!


私的に日番谷→乱菊が好きです。片想い万歳!!(もちろん逆も好きです)


身長差に悩んだり、年の差に悩んだり、幼馴染みに嫉妬したりと、いろんな妄想ができて本当に楽しい☆

私の理想は『ディアマイン/高尾滋』のふうまとさとこ(字忘れた…)のような関係ですね!
いつかヒッツーに好きなんだよ!と大声で連呼させたい…




私の文力ではあまり日乱の魅力を引き出せて無いのですが、これを読んで独りでも日乱を好きになってくれたら良いなと思います。

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