お口に合いますでしょうか?(復活ディノヒバ)



 マフィアのボスなんて、引き受けるんじゃなかった。



■お口に合いますでしょうか?■



「何それ…本気で言ってるの?」
 乱れたシーツの上に二人で寝転がりながら、心底呆れたように恭弥は言った。
「…だってマフィアじゃなかったら、いつでも好きなときに恭弥と会えるじゃん」
 ――それに、俺の背中には何千何万ものファミリーの命が預けられているから、迂闊なことは出来ないし証拠も残せない。(恭弥と満足にデートもできやしない…)俺はボスであることに誇りを思ってるけど、時々それが酷く重いんだ。

「俺は好きな奴とは常に一緒にいたいんだよ。だから遠距離とか…正直堪える」
 恭弥に覆い被さる様に抱き付き、頬に当たる肌の感触を味わった。男のくせにスベスベで柔らかい恭弥の肌は、とても俺を落ち着かせてくれる。
「ねぇ…」
 呼ばれた方に視線を向ければ、漆黒の瞳に自分の顔が写っていた。
「人と人が出会う確率って少ないんだよ?特に出会いたい人に会う確率なんて皆無に等しいんだ。…だから君がイタリアンマフィアのボスで、僕が最強の並盛中風紀委員長だったからこそ、僕たちは今ここに居るんじゃないか」
 さも当たり前のように言った恭弥。
 ――まさか、恭弥の口からそんな言葉が聞けるとは思わなかった。

「俺がマフィアで、恭弥が風紀委員長だったからなんて、何だかロマンティックだな」

 すると恭弥は怪訝な顔で言った。

「人の話聞いてた?ただのマフィアじゃ駄目なんだよ。君がイタリアンマフィアのボスじゃなかったら、沢田とも出会わなかったでしょ?それは僕とも出会わなかったってこと。そして僕も同じ。並盛に居て、強くなかったら…このリングは渡されなかった…。」

 指にはめられたボンゴレリングが、自らを主張する様にライトの光で輝いている。俺は何だかとても恥ずかしくなって…思わず視線をずらした。恭弥はそれに気付いてたけど、構わず言葉を紡いだ。

「運命とか、そういうの…信じてるわけじゃないけどさ。僕らは出会うべくして出会ったんだと思うよ…」

――ああ、君を好きになって本当に良かった。

END





雲雀が乙女思考で気持ち悪い…。

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