陸と稜が異常に仲が良い。兄弟だからこそ、思春期の悩みだとかで少しは距離を置きそうな男子高校生が揃いも揃ってベッタリなのだ。
「陸、クッキーもってきたよ」
ふんわりとした笑みを浮かべて稜が片手をあげる。その手にクッキーの包装された袋が握られているのをみて、陸がぱっと瞳を輝かせる。
「紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「ん、・・・こう、ちゃ」
「譲くんは?」
「コーヒーでたのむ」
犬でいうところの「待て」状態で、稜が近付いてくるのを待つ陸。尻尾が見える気がする。千切れんばかりに振られる、もふもふの尻尾。
「はい、お待たせ。陸、砂糖はこれ。入れすぎないようにね」
「ん、ありがと」
「譲くんにはこっちね。ストレートでいいんだよね?」
「ああ、ありがとな」
それぞれにカップを手渡してから腰をおろす稜。言われた傍から大量の砂糖を紅茶に投入している陸の手をかるく叩いて、にっこり笑う稜の姿は二人の母親の優衣さんにそっくりで。笑顔なのに妙な威圧感があるところとかがとくに。陸がしゅんとした表情をのぞかせて、大人しくスプーンから手を離す。上目で稜をじっと見つめる姿に、ぼっと稜の頬が朱色に染まった。青い瞳が稜を見つめて、ごめんね、とちいさく呟く。赤くなった頬を誤魔化すように、稜が陸の目の前にクッキーを差し出した。
「今日はラングドシャを焼いてみたんだ。陸、これスキだよね?」
「! ・・・す、き・・・!」
陸の目は完全にクッキーに釘付けで、ちらちらと横目で稜を伺う。そわそわとした雰囲気なのに、それでも表情はあまり動いていないからなんだか面白いことになっている。誤魔化せたことにほっとしたのか、稜が小さく息を吐いて陸にクッキーをすすめた。
頬を染めて見詰め合う・・・兄弟というよりか出来立てカップルのような二人を眺めて一息。初々しくじゃれあう陸と稜を背景にクッキーに手を伸ばす。小さい頃からずっとブラコン兄弟と一緒に育ってきたのだ。このくらい日常風景すぎて慣れた。
「あっ、ゆずる、・・・ずるい・・・!」
「あ? 美味いぞ。おら、陸。あーん」
「・・・あ、・・・。ん、おいしい、・・・」
「な? さすが稜だな」
に、と笑って稜をみる。稜はほんわりと笑って、青い瞳を和らげて微笑む陸をみて嬉しそうに微笑む。
「陸のためにね。」
にこりと笑って兄の為にお菓子作りの腕を磨いたと笑う稜。さすがブラコンだな、とは心の中で呟いた。
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夕凪さま、リクエストありがとうございました!
「じゃれる陸と陵について(譲視点)」の方を書かせていただきました^^大変遅くなってしまい申し訳ありません・・・!orzよろしかったら受け取ってやってくださいませ!
110307/ミケ
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