ぎゃあぎゃあと喚くように聞こえる言い合いの丁度中心で、穏やかな笑みを浮かべる稜。陸の身体の影に、すっぽりと覆われるようにして座り込む彼は、青い空を眺めてしっかりばっちり現実逃避をしていた。


「陸に近付くんじゃねえ」と会長の竜が凄めば、「どの面を下げてそんな台詞を言っている?」と文化委員長の尊が応じる。その言葉に少なからず思う所があるのか、苦々しく顔を歪めた竜を、美化委員長の峻が鼻で笑い飛ばした。高慢に歪めた嘲笑すら、どこか上品さを伴って美しいのだから美形は得である。・・・とは稜の言である。まあそんな峻の嘲笑にかぶせるようにして、「でも陸ちゃんは生徒会役員だからあ、おれ達と一緒にいるのは普通じゃない?」とゆるりと言葉を吐き出す会計の茜。それに対してコテンと首を傾げた体育委員長の高貴が、まるい目を瞬かせて豪快に笑う。「そんな仲間意識持ってたのか? 初耳だな!」棘を多分に孕んだ言葉なのに、高貴がからりと裏のない笑みを浮かべて言うものだから、一瞬何を言われたのかわからなかった生徒会補佐の双子がぽかんと首を傾げた。無意識のその動作までほぼ同時なのだから、さすが双子というべきか。「体育委員長って口わるーい!」「ボクたち傷ついちゃう!」すぐに意識を回復させたふたりは、キャイキャイと高い声で楽しむように声を上げる。「でもホントのことだから言い返せなーい!」二人の声に調子を合わせて、不思議に耳をひく声が高らかにあがる。青い色を身に纏う保健委員長の一が、愛嬌のある顔に不気味な笑みを浮かべて声もなく笑っていた。

・・・・・・。


生徒会役員と委員長のほとんどという、無駄に迫力のあるメンバーの一連の会話を見た風紀委員長の譲が、小さく溜息を吐く。

言い合いの中心で、稜をすっぽりと覆い隠すようにして抱き締める陸の、幸せそうな顔といったら。あの面子がなんのために言い争っているのか理解してないのだろう、きっと。寧ろあの論争が耳に届いてるのかも疑わしいところである。

ほわほわと、青い色の瞳を和ませて幸せそうに笑う陸と、腕の中の稜に。

あそこまでブラコンだといっそ清々しいよな・・・


どこか呆れたように、しかし穏やかな笑みを譲は浮かべるのであった。


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秋月さま、リクエストありがとうございました!
大変遅くなってしまい申し訳ありません。執筆がとても楽しいリクでした!どうぞよろしかったら受け取ってやってくださいませ!

101018/ミケ


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