風紀委員長である麻埼譲は珍しくも、不満をめいっぱい押し出した表情を浮かべて憮然と足を組み目の前の光景をじとっと眺めていた。
「稜、りょう、いっしょ、お風呂・・・はいろ?」
「んー、うん。いいよ。陸とお風呂かあ、久しぶりだよね」
にこにこと笑い合う二人。青い瞳を嬉しそうに細めて笑う陸は眼福ものだし、それにおっとりと笑い返す稜も整った顔立ちをしているから癒される光景である。あるのだが。
蚊帳の外、というかなんというか。
「これ、みて・・・!」
いつもの無関心な空気はどこへやった陸。なんだその甘い表情に空気は・・・!
喋ることが得意でないためどこか舌足らずに、だが必死に言葉を紡ぐ陸は学園の生徒が見たら卒倒するだろう笑顔を浮かべて稜に話しかけている。なかなか身長はあるし、黙っていたらどうみても襲われるよりは襲う方な陸。だというのに纏う空気や行動、仕草のせいでなんだか可愛らしく見えてくるから不思議である。
稜に見て見て、と両手を差し出す陸。
「・・・・・・あひる?」
「ん!・・・買っ、た!・・・かわいく、ない?」
陸の女性のごとき繊手に鎮座する、黄色い物体。黒い目にくちばし。可愛らしく模られた、アヒルを持って陸は笑う。
「「・・・っ」」
なんだってんだホントに!なんだあのむだに可愛い生き物は・・・っ!!
稜とほぼ同時に顔を手で覆う。
「か、可愛いよ、うん。すごく可愛い。」
「お風呂、・・・もって、く?」
「うん、いいよ。湯船に浮かべよう」
・・・・・・くそ、ブラコン兄弟が。
タオルやら着替え道具を持って浴室へ向かう二人の背中を見送る。苛々としたようなよくわからねェもんを抑えつつ見送っていた、ら。
「・・・あれ?」
「ん、あ・・・?ゆず、る?」
くる、と二人が振り返る。不思議そうに首を傾ける陸と稜に、首をかしげかえす。
「どうした?」
「ゆずる、も。」
「お風呂はいらないの?」
・・・・・・・・・。
っあああ、くそ!苛々してたのが馬鹿みたいじゃねェか・・・っ!
蚊帳の外な気分に陥っていたというのに、二人の会話の中には当然のように俺の存在が組み込まれていたらしい。・・・くそ、なんか照れるだろうが・・・。
黄色いくちばし
の、アヒルと目が合って気まずい気分になった。
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黒月さま、リクエストありがとうございました!
ヤ、ヤキモチって難しいですね…!とりあえず管理人的に可愛い陸が書けて満足です←
大変遅くなってしまい申し訳ありませんでしたorz
100517/ミケ
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