透明な天井から太陽の光が降りそそぐ温室の中に、のんびりと時間を過ごす陸と啓の姿があった。

ふわふわと襲ってくる眠気に負けそうになりつつ、太陽の光を心地好さ気に浴びる陸。その隣でじっと青空を見上げる啓。翡翠色の瞳は透明な天井越しの青空に釘付けで、とろとろと眠気に身を委ねそうになった陸の頭が肩に凭れてきても、その目は上に固定されたままであった。
しかしちゃんと意識は陸に向いているらしく、陸の頭が肩からずり落ちそうになるのを大きなてのひらで支えている。しかし完全に眠気に負けた陸がさらに体重をかけたのを感じて、ひとつ息をこぼして空から視線を外した。眠っている陸を起こさないように、そっと肩から頭をずらして膝に誘導する。いわゆる膝枕である。

「ん、…」
「陸…?」
「…ぅ…んん…」

起きるのか? と声をかける啓を他所に、頭の場所が落ち着かないのか、すこし目を開いて啓の膝の上で頭を動かす陸。もぞもぞとしばらく動いた後、落ち着ける場所を発見したのかピタリと動きを止めた陸は、再び夢の世界へと落ちていった。すやすやと穏やかな寝息をたてて眠る陸の横顔を見下ろして、ふと啓は微笑を浮かべた。


どれくらいその状態でいただろうか。再び青空に目を奪われていた啓の耳に、か細い陸の声が飛び込んでくる。

「…、」
「? 陸、?」
「…け、…」
「…どうした…?」

「……け、い」

どきりと、啓の心臓が一度だけ大きく脈打った。不意に寝乱れた髪からのぞく、白い首筋に目を奪われる。あ、と思ったときには、その首筋に噛み付くようにキスをしていた。

「ふぁ…」

眠ったままぴくりと肩をふるわせる陸を見て、噛み付いた首筋をべろりと舐め上げる。ちゅ、と最後に触れるだけの口付けをして顔を離す。


目覚めそうにない陸に笑って、早く起きることを願った。青い瞳がひらくのを、じっと待つ。


首筋に口付け

 
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -