生徒会室のソファの上で、だらりと寝そべる陸。現在生徒会室には陸と竜の二人だけ。他の役員達は見事に出払っていた。

「おい、陸。寝るなら部屋に帰れ」
「…んー」
「まじで寝るのか? 陸?」
「んんー」

珍しくも生徒会室に居座っていた陸が、駄々っ子のように呻いてソファに顔を押し付けている。それに呆れたような表情を浮かべて、しかし珍しい姿に頬を緩める竜。不意に、靴を脱いだ爪先が目に入った。紺色の靴下におおわれた足に、ふらりと近付く。

「ん、…かいちょう…?」

そのまま踝をつかんで、陸の左足を持ち上げる竜。片足を持ち上げられた感覚に、ぼんやりと竜を見上げる陸。

陸に返事を返さず、竜は無言のまま制服のズボンをたくしあげた。

「な、に…?」
「……」
「会、ちょ…」

あらわれた白いふくらはぎ。細くしなやかなそれに魅入ったように、竜が無言のまま顔を寄せる。

「え、?」

陸が驚きに声を発した時には、竜の唇が陸の足に押し付けられていた。それに驚いて足を動かすも、力強い竜の手に掴まれていて離すことができない。陸が慌てる間にも竜の唇は陸の肌を這い、口付けを落としていく。

「ちょ、かい、ちょう…ひゃっ」

小さい悲鳴をあげた陸をみて、竜はにやりと口端を吊り上げる。ぱっ、と足を開放された瞬間、陸はソファから身を起こしてズボンの裾を直すと警戒するように竜を見つめた。
それににやにやと笑みを返し、竜は陸にむかっててのひらを伸ばす。反射的に首をすくめた陸の頭をぽん、と撫でて、ぽかんと気の抜けた陸をよそにさっさと席に戻ると竜は書類を片付け始めた。
ムダに警戒していた陸は、呆気にとられた表情で竜をみつめる。

「陸」
「…な、んだ…」
「そんなに見てるとまたキスするぞ」
「っ!」

ぴゃっと肩を跳ね上げて、そのまま慌てて靴を履いて生徒会室を飛び出していった陸を見送って、竜が笑い声をあげた。去り際にみえた頬が赤く染まっているのをみて、どうやら脈なしではないことを悟る。…まあ、脈ありというわけでもなさそうだけれど。

(これからだよ、これから。)


なんて考えたかは、本人のみぞ知る。


ふくはらぎに口付け

 
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