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(第三者視点)



くつりくつりと、喉奥でわらう生徒の姿に三人の視線が集まる。


あおい。


ぽつりと道哉が零した言葉は、その生徒にそのまま当てはまる形容で。


染めているのだろうか、青く染め抜かれた髪はそれでもさらりと彼の動きにあわせて柔らかに揺れる。青白いわけではない、ただ健康的な白い肌に、小さいからだ。学年ごとに別のカラーがはいったネクタイがなければ、きっと一年生と間違えるだろう弱々しいともいえる体躯。



「ねえ、うるさいんだけどお・・・?」


騒がれるような容姿をしているわけではない。奇抜な髪色さえのぞけば、可愛いとも言えなくはない、ていどの平凡な容姿をした小柄な生徒。だというのに。いい意味でもわるい意味でも有名な三人を前にしても、怖じることなく、むしろ皮肉めいた笑顔を浮かべて小首を傾げる。


ぽかんと、道哉が呆気に取られている間にまんまと腕の中から抜け出した陸は、己の身震いする肩を抱き締めてほうと息を吐く。

引き裂かれた制服の前を手繰り寄せて、青い色を見に纏う三年生に目を向けた。


「桂木」
「・・・はい、」
「わすれもの。これ、生徒会の書類だよねえ?」


にこりと皮肉めいた笑みを浮かべ続ける生徒に、歩み寄る。震える身体を押さえて、書類を受け取った陸は頭を下げた。


「・・・、ありがと、う・・・ございます・・・」
「うんうん、どういたしましてえ。桂木はちゃんとお礼の言えるいい子だねえ」


作り物の青い瞳が、ねこのようににっこりとわらった。


「かんざき、・・・せんぱい・・・です、よね・・・?」
「ボクのこと知ってるんだあ?・・・、ああ、桂木は委員長の顔ぜんぶ覚えてるんだっけ、そうえいば。」


にこにこ、えみを崩さないまま保健委員長、神崎一は唇を吊り上げた。





2010/07/25/


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