04
(生徒会長視点)



桂木陸。生徒会書記の名前だ。
人気投票で俺に僅差で二位に選ばれた、まあ整った顔立ちをしているヤツ。そんな桂木は、酷く無口で無表情でやる気のない男である。名誉ある誉学園の生徒会入りを拒否し、理事やら教師方の必死の説得で「週一生徒会室に来る」だけの名ばかりの生徒会役員・・・と思いきや仕事はきちんとやる変なヤツ。
前髪は伸ばしっぱなし。顔はちゃんと見えねェのに、綺麗な顔をしているのがわかるフシギっぷり。話したことなんて片手で数えられる程度。まあ副会長の満やら会計の茜、補佐の双子ならもっと話したことあんだろ。

とにかく、堅物も堅物。浮ついた話も全然なく、表情筋しんでんじゃねえのと聞きたい男が、今、目の前で。

「稜。クッキー、食べる・・・?」

道哉の同室者の、・・・名前は確か桂木稜とやらを膝の上に乗せてクッキーを差し出す陸。無駄に長い手を桂木稜の腰に回して、普段の堅物クンはどこにいったと言う程の蜂蜜のように甘い雰囲気を垂れ流しにしている。よーくよく見ればまあ綺麗なような、でも地味な顔立ちの桂木稜は そんな陸におっとりと笑いかけてクッキーを食べている。初めて見る書記の意外な一面に、役員全員の時が止まっていた。そんななんともいえない気まずい空気の中、突然道哉の声が大きく通った。

「稜! 生徒会に知り合い居たのかよ! なんで言ってくれなかったんだ?」

いやいやいや、おま、今までの流れ見てればわかるだろ! どう見ても二人ともお互いの存在に吃驚してただろ! いや、そんなちょっとぬけてる道哉も可愛いけどよ!

「僕も今初めて知ったんだ。でも、本当に驚いたよ。陸が生徒会役員だったなんて」
「・・・俺も、稜が誉学園の生徒で吃驚した・・・。でも、嬉しい」
「・・・うん、僕も。陸と会えて嬉しい」

ぎゅー。
マジでこいつは犬か。一瞬陸が大型犬に見えた。
甘い甘い雰囲気で、ぎゅうと桂木稜を抱きしめる陸に、なんだかもやもや、したような。なんだこれ。





2010/03/05/


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