(とある生徒視点)
※些かの暴力的、また性的(?)描写を含みます。閲覧にはご注意下さい。
といっても生温く。やんわりとした曖昧な描写にしてあります。
いつもつるんでる奴らと、授業をサボって人気のなさそうな森の近くでたむろっていた。俺を含めた三人とも、頭は悪い。加えて顔も、自分で言うと悲しくなってくるがそんなに良い方ではないので、この学園は酷く居心地が悪かった。
だからこそ、家柄だけは三人とも良かったため、俺らは考えた。
最高のゲーム。
黒髪。長身痩躯という四字熟語が似合いそうな男が、こちらに背を向けて立っていた。暇をもてあましていた俺らは素早く目で合図を送り合う。正直、身長が俺と同じくらいのそいつに興味なんてかけらもわかなかったけど、まあいい。要は暇さえ潰せればいいんだから、な。
たいした期待もせず、話しかける。まあ、小さくて可愛い奴を相手にしたほうが楽しいけど。・・・まさか自分が襲われるなんて思ってないような、デカイ体の奴を襲うのも楽しいから。小さい奴らより、大きい奴らの方が絶望に満たされる顔は一層ゾクゾクくる。
・・・なんて、適当に考えていたら。
「っ、なんの、・・・よう、だ・・・?」
眉を顰めてこちらをみる、その容姿。
平凡なはずの黒い髪は艶々だし、白い肌は見るからに触り心地が良さそうだ。おそらく、学園の中でもトップクラスだろうその顔。
なにより。
泣き黒子が放つ強烈な色気、青い瞳が薄っすらと潤んでいて。
「まじ上玉・・・っ!」
―――…
三人がかりで暴れるそいつを押さえつける。俺が触った腕なんか、ありえないぐらい細くてさらにそそられた。
「や、め・・・っ!!」
細く高く、上がる悲鳴じみた声。背中にぞくぞくとしたものが這い上がる、高揚する気分に身を任せて、制服を引き千切った。
弾け飛ぶボタン。そいつは青い目を限界まで見開いて、声もなく絶叫する。カッターシャツの下に着ていた服の隙間から手を這わせて、口端を歪ませた。やべえ、こいつマジでやべえ。
這わせた手を、撫でるように動かせばビクビクと体が震える。唇を噛み締めて、目に涙を滲ませるそいつ。足と手をそれぞれ押さえつける仲間二人も、興奮したように男を見下ろしてごくりと喉を鳴らしている。
「ふ、・・・っ、やめろ、・・・っ、さわ、さわる、な・・・っ!!」
手足をバタつかせる。身長は高いけれど、細いそいつは見た目どおり筋肉もあまりないらしく、抵抗らしい抵抗になっていない。それでも、暴れられればイラつく。
ガツッ
「ぃ・・・っ、う・・・!」
「うるせえよ、おとなしくしてろ」
顔を殴るのは勿体無い気がして、とりあえず腹に一発。小さく呻くその顔すら綺麗だから驚きだよな。まじで俺らと同じ人間かよこいつ。
「ふ、・・・う・・・っ」
瞳一杯に涙をためて、そいつは震える。その涙は零れることなく、ただ目に溜めて泣くまいとするそいつに加虐心が刺激された。
大人しくなったそいつを見て、服を剥ぐスピードを速める。引きちぎられたカッターシャツの下に着込んでいる服をたくしあげて、白い肌を晒す。本当は脱がしてえけど、いま手を離したら暴れるかもしれねえからな。
滑らかな白い肌。ごくりと喉を鳴らして、バックルに手を伸ばす。カチャカチャと音を鳴らして留め具を外せば、そいつがひゅっと息を呑んだ音が聞こえた。
「や、・・・だ・・・やめ、・・・」
カタカタと小刻みに震える。青白い顔色で、それでも損なわれない美貌が俺らを誘う。むしろ怯える光景すらますます手を早める一因になっているのだから笑える。
留め具を外し終わって、ズボンの生地に手をかける。力をこめてそれをずり下げようとしたところで、頭に衝撃が走った。
ガツンッ
「いっ、ってええ!!」
ごろり、体が横に倒れる。頭に酷い激痛が走って、声をあげる。くそ、だれだ、ゆるさねえ・・・っ!!
「て、めえっ!・・・っ、う、あ・・・!?」
頭を片手で抑えつつ、体を起こして俺を殴るなり蹴るなりしたのだろう人物を見やる。気配なんてなかったが、事実俺は頭を攻撃されたのだ。
まじで誰だよっ!・・・なんて意気込んで振り返った、ら。
俺同様頭を抑えて痛みに呻く仲間二人。それを冷徹に見下ろす、ひと・・・。
「あ、赤崎、さっ!?」
「なにをしてる」
「い、いや、あの、その・・・!」
赤崎、啓さま・・・。知らないものは居ないだろう、その人の姿に怖気が走る。直接話したことはない、赤崎さまは人嫌いで有名だから。それでも確かに王者の風格でもって他を圧倒するその人に、怯える。
たしか、赤崎さまは。強姦やリンチが嫌いなことでも有名、で。
(それもあって、赤崎さまの親衛隊は穏健派で有名で)
引き千切られた制服。涙はいまだ零していないが、白い喉が小さく嗚咽を漏らしている。くつろげられたズボンに、白い腹に浮かぶ殴った痕・・・なんて。どうみても襲われてるようにしか見えない、よな・・・!やべえ、やべえやべえ!
足下の雑草を踏みしめて、赤崎さまが一歩踏み出す。
恐怖に、先ほどとは違う意味で喉をごくりと鳴らして、くるだろう衝撃をただ待っていた。
「・・・、ひ、う・・・、・・・あ、あ、」
小さく漏れた、そいつの声。目に見えて分かるほど震える男を見て、ぴたりと赤崎様が動きをとめた。
「・・・失せろ」
「へ?」
「今すぐオレの前から姿を消せ」
「うあ、は、はい!!」
暫し呆然として、だが言われた言葉に我にかえる。何がなんだかさっぱりだが、どうやら見逃してもらえるらしい。赤崎さまの気が変わらないうちに、仲間二人を引きずってその場を後にした。
2010/05/17/