02
(稜視点)



ああもうちょっと本気でやめてくれないかなぁ。

「だーかーらー!おれは稜も一緒じゃないと生徒会室には行かねェって!!」
「こんな地味な子どうでもいーじゃん!」
「颯太に同感!こんな子ほっといてボクらとあそぼーよ!」

一週間ほど前にこの学園にやってきた秋月道哉くん。何の因果か同室になり、見た目オタクなのに中身はとっても快活な彼に、友達になろうぜ!と言われて了承し、なんかもう一週間も経ってないのにぶっちゃけ後悔してるわけで。というかそもそも友達って言ってなるモノ?自然と友達って友達になってるもんだよね。わけわかんなくなってきた。

美形ホイホイのフェロモンでも出てるのか、道哉は転入してからあっという間に学園中の人気者をとりこにしてしまった。全員ではないけど。他の人に構われてればいいのに、何故だか懐かれてしまった僕は絶賛道哉に恋した人たちに嫉妬され中である。なんて迷惑。
今現在も、生徒会補佐で美形双子として有名な彩音兄弟が道哉を彼らの本拠地、生徒会室に連れて行こうと奮起している最中である。ぜひ連れて行ってください、声に出さないでそう祈ってたら何故だか道連れ。

そもそも生徒会室に行くもなにも、まだ授業は終わってないわけで。生徒会室に居る場合は授業免除の出席扱いになるけれど、それは正式に生徒会役員の許可が出てこそだ。ここ一週間道哉に流されて生徒会室に行っていたけれど、道哉に恋してる生徒会役員が(一方的な)恋敵である僕に許可証をだすわけがなく。僕ここ一週間の授業全部サボり、ってことになってるんだからね!道哉は許可証ちゃんと貰ってるし、僕が許可証を貰ってないなんて知らないんだろうけど。そもそも許可証が必要とかそういう事も知らなそうだけど。
というか許可証出てたとしても僕の頭は平々凡々なので、授業に出ないのは非常に不味い。勉強に追いつけなくなってしまう。

というわけで。

「僕はいいよ。道哉だけで行っておいで」
「なんで!稜が行かないなら行かないってば!」

ちょ、本気で双子に睨まれてるんだけど。さっきから無言で道哉の傍らに立ってる、所謂不良の雨宮くんもすっごい睨んでる・・・!眼力はんぱないすっごい怖い!
クラスメイトたちは毎日このやり取りを見てるせいか、酷く同情的な視線を送ってくれる。けど他クラスの人たちは現状を知らないから生徒会役員に付きまとうオタクと、その同室者。とかいう恨み篭った目で見られてるわけで。ああ、僕の平穏は一体どこに。涙出そう。道哉のこと、嫌いってわけじゃないから突き放そうにも突き放せないし。

「勿論行くよね?同室者君」
「行かないわけないよね、同室者君」
「・・・ヨロコンデ」

意志の弱い僕のばかっ!





2010/03/04/


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