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(第三者視点)



三人揃って幸せな気分に浸りつつ、ベッドの上に横になる。風呂上がりなため体はほかほかとしていて、ふわふわなベッドが眠気を誘う。

陸、譲、稜の三人はあの後扉の壊れてしまったお風呂に三人で入った。幸い誉学園の各寮部屋に備え付けられている浴室は、三人で入ってもギリギリ大丈夫な程度の広さなため、稜が小柄なこともあって三人肩を並べて平和的にお風呂の時間を堪能できたわけで。

寝るにはまだ早い時間だが、そんなことお構いなしに三人はベッドに潜り込む。甘やかすように頭を撫でる譲に、陸が擽ったそうに小さく微笑んだ。幸せな時間が流れる。ここ最近感じることの出来なかった穏やかな空気に、今だけは仕事のことも忘れたふりをして陸は表情を緩める。

陸と稜は向かい合わせに寝転がり、ぎゅうと互いの片手を握り締めた。もう一方の陸の手は、陸を後ろから抱きすくめた譲が、陸のお腹にまわす手と繋いで。
言葉を発することなく、三人は穏やかな表情を浮かべる。



陸の愛する穏やかな静寂が、幸せな空気とともに流れていた。このときは、確かに。





2010/04/11/


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