01
(主人公視点)



ぼんやりと青空を見上げる。本日も晴天なり。最近騒がしい学園に、正直陸はげんなりしていた。

気付いたら何時の間にか生徒会に推されていて、最後まで拒否し続けて得たのは"最低でも週一生徒会室に行けばあとは自由"、という生徒会入る意味あるわけと聞きたくなるような権利。まあやらなきゃいけない仕事はやってるし。他人と顔合わせるなんて面倒だけどこの権利のおかげで週一で済むし。なにより生徒会役員の権限で、授業にはほどほどしか出なくていいし。つらつらと生徒会入りした言い訳をしつつ、溜息を吐いた。
最後に生徒会室へ行ったのはちょうど一週間前の今日。

今この学園の騒ぎの中心である、転校生がくる一日前の日であった。


嫌でも聞こえてくる噂話に耳を傾ければ、なんでもその転校生は生徒会役員を筆頭に学園の人気者をたらしこむ天才だとか。たらしこむって表現きもい、なんて無表情で考えつつ、噂の一つである「転入生とその同室者が生徒会室に入り浸っている」というものに本気で悩む。生徒会室行きたくない。己以外の人影がない屋上で、重々しい溜息と共に立ち上がった。生徒会辞めさせられるのは別にいいけど、そうすると授業にきちんとでなきゃいけなくなる。他人と接するとか無理。ということはイコール生徒会室に行かなきゃいけないわけで。

先日己の親衛隊という生徒達に言われた言葉が、ぐるんぐるんと脳味噌を回転しまくって気分が悪かった。まあ気分が悪いのは最近何故だか増えた仕事のせいもあるのだろう。原因は恐らく転入生に構いっきりで仕事が普段より進まない所為、とかいう情けないものだろうけど。

標準より小柄な体型のキャピキャピしたヤツ数名、その生徒らとは対照的なごっついヤツら数名が、揃いも揃って涙目で「陸さまだけは転入生にかまわないでください!!」と廊下のど真ん中で絶叫されたこのキモチ。何故だか周りの生徒達もうんうん頷いてて不気味だった。
初恋すらまだで自分がノンケかホモかバイかすらわからない恋愛初心者なのに、いきなり一目見た同姓をスキになるなんてありえない・・・と信じてるから自分。
がっくりと項垂れて陸は屋上を去る。

ああ、本気で学園の片隅でひっそり暮らしたい。





2010/03/04/


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