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(主人公視点)



結局学園内にあるコンビニでお弁当を買い、プリンやらアイスやら甘いものを買って貰った俺は今、一人で生徒会室へ向かってるところだ。

仕事が残ってるから。そう言った俺に、譲は無言で俺の頭をぽんぽんと叩くと、コンビニの袋を押し付けて去っていった。ちゃんと食えよ? ニヒルに笑ってそう言った譲に感謝。たくさん喋ることが苦手な俺では、もし譲が一緒に生徒会室に行きたいとムリを言ってきても断りきれなかっただろうから。

生徒会室には許可さえあれば役員以外も入れるが、仲の悪い風紀委員は入室できない、という暗黙の了解がある。数代前から生徒会と風紀委員は仲が良くないらしく、この決まりも代々引き継がれてきている。そんな中で、もし風紀委員長である譲が生徒会室に来たなんてことがバレたら、役員達からの非難は必至だろう。それを察してくれた譲が今はありがたかった。


暗い生徒会室の明かりを点け、直ぐ目に入った書類の山に溜息が漏れる。さっき食堂で役員達に仕事をするよう言えばよかった。まあそんなヒマなかったけど。

コンビニの袋を机の脇に置いて、中からアイスを取り出して冷凍庫にしまう。何故か生徒会室には仮眠部屋(という名の立派な寝室)や、シャワー、簡易キッチンが設置されており、ぶっちゃけ数日外に出なくても暮らせるだけの設備が整っていた。

さっきの騒ぎの所為か、お腹が全く減っていない。何時もならたくさん食べれるはずの甘味もまったく美味しそうに見えないという異常事態だ。甘いものが大好物な俺が、目の前に甘味があるのに食べないなんて、そうとう疲れが溜まっている証拠である。でも食欲がないものはないのだ。食べなくては、と思うけど食べたくない。しかし何も食べないのは不味い、譲と食べると約束した手前、食べずに倒れでもしたらなにを言われることか。

少しだけ考えて、ポケットを漁る。すぐに指先に触れたそれを取り出して、これでいいかと一人頷いた。透明のビニールに包まれた青い飴玉。何故だか最近廊下で会うたびに、飴をくれるようになった尊先輩から今朝頂いたものだった。

包みをあけて、飴を口に含む。甘い味が口の中に広がって頬が緩んだ。


さて、もう一仕事頑張ろうかな。





2010/03/09/


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