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(生徒会長視点)



また、だ。何でだ? 最近無意識に、陸の姿を目で追いかけている自分が居た。今だって、階段から落ちそうになった陸を助けた麻埼に苛ついてる。どうして、なぜ。それとも俺は、麻埼が道哉に乱暴な言葉遣いをしたから怒ってるのか? わからない。陸を腕の中に抱きしめる麻埼に、酷くイライラとした気持ちを抱いていて。でも、道哉を助けにいった満や、道哉に辛辣な言葉をあびせる美化委員長にもイラついている。

自分の気持ちが誰を向いているのかわからなくなる。俺は確かに、道哉に恋をしているはずなのに。

「どうした竜? 具合でも悪いのか?」

何時の間にかテーブルに帰ってきていた道哉にはっとする。辺りを見渡すと、陸と麻埼、美化委員長の姿はとうに無くなっていた。

「・・・いや、大丈夫だ。、それより夕飯を食べるぞ」
「そうだな! なんにしよっかなー、どれも美味しそうだから迷うんだよなー」

にこにこと楽しそうな空気を発する道哉。可愛いと、思う。俺は道哉のことが好き、それでいいじゃねえか。・・・それでいいはず、なのに。

「今度はさ! 陸もメシ一緒に食べてくれるかな!」

俺は一体、誰に嫉妬をしてるのだろう。





2010/03/09/


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