13
(主人公視点)



俺が会計の代わりに会議に出席したあの日から五日。

五日前に誰もいない生徒会室を見て、なんだか嫌な予感がした俺はその次の日も生徒会室へ行った。案の定誰もいないそこに落胆の溜息を吐いたのが記憶に新しい。
誰か来るかもしれない、偶々誰も居なかっただけでは・・・。そう願って寮に帰り、その二時間後、結局俺はまた生徒会室に足を向けていた。やはりというか、明かりのついていない生徒会室の、机の上には山積みの書類。
仕方なくその日も他の役員の仕事をして、・・・そして結局五日間、他の役員の仕事を全部俺がやっている。

提出が迫ってるのだけ、と思いながらやっていたが、全く仕事をしに来る気配のない役員たちに呆れ果てて結局全部することにした。だって稜に迷惑がかかるなんて、嫌だしな。それに、尊先輩みたいな人たちにも迷惑をかけたくない。

本腰を入れて全ての書類をやろうと決めたら、なんだか仕事が多すぎて泣きそうになった。全員分の一日の書類を片付けるだけで大変なのに、今の時期は新歓の準備も重なってかなり仕事が多い。
週に一回しか生徒会室に来てなかったあの頃が恋しい。ここのところずっと生徒会室に通いつめてる上、仕事が終わらない所為で最近は真面目に出席していた授業もまたサボりがちになってしまった。

ああ、そういえば最近ご飯食べてない。
食堂は騒がしくて嫌なので、いつも自炊をしているのだが。部屋に帰れば疲れ果てて夕飯を摂らずに寝ることもしばしば。朝御飯は喉を通らないので、今までもあまり食べたことはない。仕事が溜まっている所為で朝早く生徒会室に行かねばならなく、お昼の弁当を作っていく暇もない・・・。
ここのところ生徒会室に備え付けられてるお茶請けや、所持している甘味しか食べてないような。・・・。まあお腹空いてないから構わないが。


重い重い溜息とともに、書類を持って生徒会室を出る。本日は風紀委員との話し合い。ちなみに本来の出席者は副会長である。

時間に余裕があるため、ゆったりと廊下を歩く。久しぶりの緩やかな時間に涙がでそうだった。まあでないけども。

四日前に顧問のところへ、代理印を暫く預かる旨を話しに行ったときに聞いた話しでは、どうやら役員達はみんな転入生の部屋に篭りっきり、とかで。そういえば顧問は稜、そして転入生のクラスの担任だった。顧問はめっきり授業に出なくなった転入生にほとほと困り果てているらしい。稜はちゃんと授業に出てるらしく、役員たちに会いたくないからか夜も友人のところで泊まってるとか。それを聞いて真っ先に安堵した。稜になにもないならそれでいい、その友人とやらは担任である顧問のお墨付きだったので安心した。転入生のところにいるよりそっちの方がずっとましである。

顧問が転入生に授業に出るよう連絡、役員達に仕事をするよう連絡しているらしいが、彼らは一向に来る気配なし。転入生だけはたまに、本当に時々授業に出るらしい。そのくせ食堂にはしっかりばっちり顔を出すので、他の生徒からの反発の声が大きくなってきているらしい。まあ人気のある役員たちを実質独り占めにしているようなものなので、当たり前か。
転入生が授業に来ると他の役員達もくっついてくる。転入生の靴箱や机は親衛隊によりボロボロなので、それをみた役員達が激怒、転入生を庇う。それを見てさらに親衛隊たちが転入生を恨む、というサイアクのループに陥っている。
一度廊下で偶然遭遇した会長に、仕事をするように言って見たが効果はなかった。


ゆったりとした気分だったのに、転入生とその周りのことを考えただけで気分が悪くなった。そうこうしているうちに着いた風紀委員室、委員長は知り合いなのでそれ程気負いもなく済む。

ああ、そういえば・・・。

転入生の名前ってなんだったっけ。





2010/03/07/


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