(第三者視点)
尊から貰った飴玉を一つ口に含んで、誰もいない生徒会室で仕事をする陸。
生徒会室で仕事をするのが初めてな彼、一応書記である彼の席も置いてあるのでそこで書類を整理している。ちなみにペンの類は隣の副会長の席から拝借したようで。
飴がそんなに嬉しいのか、それとも煩わしい役員たちがいない生徒会室が嬉しいのか、機嫌良さげに書類をチェックしていく陸。
飴を六つ食べ終えたところで、陸の分の仕事が片付いた。ん、と伸びをして、席を立つ。無関心を決め込んで生徒会室から退出しようとした彼だったが、各役員たちの机の上で沈黙を守る提出期限の迫った書類たちに、知らず足が止まる。
「・・・」
顧問には頼まれたけど、強制を含んでやれといわれたわけじゃない。自分に割り当てられた仕事も終わらせた。積極的じゃない自分が会計の代わりに会議にまで行ったのだ。これ以上、することなんてない。・・・はずなのに。
生徒会に選ばれたからには、役員なりに学園に、ひいては学園で生活する生徒達。もっと詳しく言うと稜に迷惑をかけるわけにはいかない。鬱々と考え事に沈み、陸は生徒会室の中へ踵を返した。
とりあえず今日が期限のものだけを片付けよう。代理印は預かったままなので、今日一日これを使うくらいなんでもないだろう。重要そうなのだけは後で顧問に確認を取りに行くことにして・・・。
それぞれの机から書類を抜き出して、再び椅子に腰掛ける。重々しく溜息を吐いた陸は、目にかかる前髪を横に払って仕事に取り掛かった。
2010/03/07/