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(第三者視点)


「陸せんぱい」
「せんぱい?」

視線を下に落として考え込んでいた陸に声をかける双子。
その声に反応して陸が顔をあげる。
間近から青色の瞳で見つめられた二人は、さっと頬を赤く染めた。

「り、陸先輩はなんにする?」

どもりながらも陸に質問した風太に、きょとりと目を瞬かせる陸。

「? なに、が?」
「聞いてなかったの? スタンプラリー!」
「スタンプ押す条件、陸先輩はどうするの?」

新歓のスタンプラリーでスタンプを求めてきた生徒たちに出す、スタンプを押す条件について、陸はどうするのか。
双子が同時に首をかしげる。
合点がいった陸は、悩むように再び目を伏せる。

「…あんまり、動きたくない…な」
「じゃあ、座ってできることかあ」
「うーん」
「うーん…」

うーん、と三人で考え込む。
数秒の後、あっ、と颯太が目を輝かせてぽんと手を打った。

「座ってるだけでいいんじゃない?」
「…う、ん?」
「ああっ、なるほど颯太!そうだね、座ってるだけでいっかあ」
「…?」

にこにこと顔を見合わせる双子に、首をかしげる陸。

「陸先輩は座ってるだけでいいんだよっ」
「そうそう!で、スタンプ貰いにきた生徒にスタンプ押してあげればいいよ」
「…条件、は?」
「座ってる陸先輩に近づくことがすでに難関だよ」
「うんうん。難関だねー」

きゃっきゃとはしゃぐ双子。
座ってるだけでいいのか?と首をかしげる陸。
まあ座ってるだけでいいならそれでいいけど。となんとなく納得しないままでいるところに、なるほど、と声があがった。

「そうだね、陸の条件はそれで十分だ」
「如月と同じく。前髪も切ったし、ちょうど良いんじゃない」

美化委員長の峻と、保健委員長の一がうなずく。
周りの面々もなるほど、といったような表情である。

「…(委員長二人が言うならいいか)…じゃあ、それ、で」

つまりは。
前髪を伸ばした状態の陸にさえ近づくのを戸惑う生徒たちが、前髪を切った陸に近づけるかどうかという話らしい。

新歓まであとすこし。


2011/08/15


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