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(主人公視点)


「譲、も? ・・・どうして、だ?」

隣を歩く譲を見上げる。昼に苺ケーキを食べ、眠気と闘いつつ午後を過ごし放課後現在。

朝の会計の言葉に従って生徒会室へ向かうべく準備しているところに、譲がわざわざ教室までやってきたのだ。
行くぞ、陸。と声をかけられたため慌ててついてきたが、向かってる先はどうやら生徒会室のようで。どうして譲も? と首を傾げる俺に視線を向けて喋る譲。

「オレら委員長にも、放課後生徒会室に、って連絡がきたんだよ」
「委員長?」

ということは・・・つまり・・・。

陸! と顔一杯で笑う先輩が脳裏をよぎる。すきだと動いた口の形まで思い出してしまって、顔に熱が集まった。あの日以来なんだかんだと避け続けてしまった体育委員長もいるということか・・・。
す、と顔に集まっていた熱がひく。なんだか生徒会室に行きたくなくなってしまった。それでも仕事を放棄するわけにはいかなくて、少しだけ重い足で生徒会室へ向かう。

ムダに豪奢な扉を、譲が戸惑いもなく開けた。

「風紀委員長の麻埼だ。」
「遅かったですね、麻埼。もう全員・・・陸以外全員集まってますよ」

奥から出てきた副会長。にこりと笑っていう声に自分の名前を拾って、譲の後ろから一歩踏み出す。

「おく、れた・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・?」
「・・・やっぱり陸なんですね、」
「? なん、だ?」
「なんでもないです。委員長方が待ちくたびれてる様子ですから、急いでください」

数秒間、副会長に凝視される。小さい声で呟かれたやっぱりという言葉に首を傾げた。なにがやっぱり? というか副会長とは保健室から出て遭遇してしまい逃走したのが最後なので、なんだか気まずい。
くるりと踵をかえした副会長の後を譲と追う。それなりに広い生徒会室の奥へ足を踏み入れれば、思い思いにソファやら椅子やらに腰掛ける委員長達と生徒会役員の姿がみえた。

「風紀委員長も陸先輩もおーそーいーっ」
「遅いおそーいっ! もうボクも風太も待ちくたびれちゃったよっ」

風紀委員長と陸が来ましたよ、という副会長の言葉に逸早く反応したのは補佐の双子である。道哉のようにどっちがどっちだかの区別はつけられないが、今の言葉を聞くに左が風太で右が颯太らしい。どうでもいいか。

椅子に腰掛けて優雅に紅茶をのむ美化委員長の如月 峻先輩。その向かいでクッキーをつまむ保健委員長の神崎 一先輩に、ソファで黙々と読書をしている図書委員長の藤木 要先輩。文化委員長の木野 尊先輩は藤木先輩の隣で足を組んで目を閉じている。・・・肝心の体育委員長、峰 高貴先輩はというと、窓の近くで外を眺めていた。視線の先は、どうやらグラウンドで部活をしている運動部のようで。

自席に腰掛ける生徒会役員たち。会長の松野 竜が、俺たち二人の姿を見て、す、と立ち上がった。


好き勝手していた委員長達が、ちらりと視線をやる。結局なにがあるのだろう、内心首を傾げて、居住まいを正した。



2011/02/12



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