119
(稜視点)



陸が生徒会長に連れて行かれた。

すぐさま譲くんと一緒に後を追いかけようとしたけれど、道哉に引き止められてもたついている間に二人の姿はあっという間に廊下の向こうに消えてしまった。

「な、なあ稜!」
「ごめん道哉いま急いでるの空気読んで! とりあえずそこどいてっ!」
「お、落ち着けよ稜! 空気は読むものじゃないぞっ」
「…怒るよ?」
「なんでだよ!」

なんでだよが何でだよって感じなんだけどっ。

早く陸を追いかけたくて仕方ない。生徒会長と陸を二人きり…? あの生徒会長と? 道哉にあんなに甘い言葉を囁いてた? …不安だ…!!


「…譲くん」
「わかってる。食堂で、な」
「うん」

譲くんが苦笑を零して、道哉の横をすり抜ける。何のためかはサッパリわからないけど道哉が手を伸ばして譲くんを引き止めようとしたため、その道哉の袖を引っ張る。その間に扉から出て行った譲くんは、長い足を存分にいかして陸と会長が消えていった方に走っていった。

よし、取り合えず陸のことは譲くんに任せよう。そしてどうやって道哉を振り払おう。


「稜っ!」

腕を組んで道哉を前に悩んでいたら、後ろから声がかかる。ああ、忘れてた。

「灯、海斗。」
「お昼一緒に食べるよねっ!? 食堂いこうっ!」
「う、うん」
「ほら、海斗もっ! 席無くなっちゃうよー?」
「あ、ああ、わかってる」

ぐいぐいと灯が海斗と僕の腕を引っ張る。ぽかんと口を開ける道哉に、可愛らしい表情を向けた。

「じゃあぼくたちは食堂行くからばいばい秋月くん!」
「え? おれも、」
「耳をよく澄ましてみてよ! 副会長達が迎えに来てくれたみたいだよ? ぼくたち副会長様たちとご飯食べる気ないからばいばい!」
「え、え?」


じゃあね、ともう一度にっこりして道哉を勢いで押し込めた灯を尊敬しました。





2010/11/4/


prev next

MAIN-TOP

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -