08
(主人公視点)



まさかの稜との再会から一週間。聞こえてくるよくない噂から、転入生"とその同室者"っていうフレーズが無くなってたから、俺は今まで通り一切生徒会室に立ち寄らず、でも今までとは違って授業には出来るだけ出席するよう心がけていた。・・・ん? いや、稜が居るからには兄としてちゃんとしとかないとだめかな、って思ったから。


一週間分の書類を持ってゆっくり生徒会室へ向かう。これを渡して、新しく一週間分の書類を受け取るだけの簡単な作業。・・・いや、生徒会室に行くのめんどうだから、本当はいやだし簡単じゃないけど。

期限が間近に迫った急ぎの仕事や書類の場合は、生徒会顧問が担任を通して連絡をいれるから、いままでこの仕事のやり方を不便に思ったり困ったことはなかった。
なかった、はず、・・・なのに。
・・・、今日初めて、俺はこの制度でやってきたことを後悔する訳である。


いやいやながらも生徒会室に行ったら、不思議なことに誰も居なかった。あれ・・・? 授業中でも誰か一人は居るほどの生徒会室で役員である。今は放課後、仕事真っ盛りの時間帯。・・・なんで一人もいないんだ? 疑問は解けなかったけど、とてもとてもとても嫌なモノを俺は発見してしまった。

見たことの無い程の書類の山が、机の上に積みあがっていた。

人っ子一人居ない生徒会室。他役員の机の上に積みあがった書類。ちなみに俺の机の上には普段通りの量の書類が乗っているわけだが・・・。不審に思って、扉から近い会計の机の書類を一枚とって見てみると、なんと提出期限が今日のものだった。しかも内容は新入生歓迎会についてのものだった。
・・・これって、文化委員と会計が連携して会議するアレじゃね? ・・・やばい、よな・・・。ただでさえ文化委員には、下半身のだらしない会計とか会長のせいでよく思われてないのに、仕事すらまともに出来ない生徒会、なんて思われるのは・・・どうなんだ。
というかそもそも、会計はどこにいった? この会議に出てるのか? ・・・どうかそうでありますように・・・!

チラリと見た書類によると、今日は第二回目の話し合い。一回目の会議は文化委員だけで新歓の内容を考えて、二回目から予算との折り合いについての話し合い。会計は必須キャラ、というかいないと話にならない訳で・・・。

溜息を吐いて、必要そうな書類を会計の机から拝借する。ついでに他の役員の書類も覗いて、切羽詰ったものがないかを確認した。
取り越し苦労ならそれでいいけれど、もし会計がこの会議を放ってどこかへ遊びにいってるなら、とても不味い。関係ない、なんてちょっと思ったけど、この新歓には稜も参加するのだ。こういうイベントを楽しみにする稜が、もし生徒会側の所為で新歓が延期、・・・はまだ良い方で、万が一中止なんかになったら・・・。

稜の笑顔を思い浮かべて、書類を片手に文化委員室へ走る。ああ、会計がちゃんと出席してますように・・・!


普段から生徒会室に居たら、こういうことは起こらなかったかもしれない、・・・のか?





2010/03/06/


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