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(陸視点)



稜の頭にぐりぐりと頬を擦り付けながら、こちらを見つめる転入生を見返す。稜の頭から少し顔を離して、小さく傾ける。

そういえば、

「…おれ、に。話…って?」

なに? と首を傾けたまま問う。俺の問いかけにぱっと雰囲気を明るくさせた転入生は、ずいと一歩こちらに近付く。稜が居るからか、なんだかさっきより気分がいい。近付いてくる転入生を見ても先ほどより怖いとは感じなかった。

「おれ、…ずっと陸に謝りたくて…」
「?」
「食堂で、仕事のこと知った顔で口出してごめんな…陸」

そういえば、そんなこともあったような。色々ありすぎてかなり遠い記憶である。しゅんと肩を落としていう転入生に、こくりと頷く。

「・・・きに、してな、い」

本心からの言葉を吐く。しかしそれを気遣っていると感じたのか、ばっと顔をあげた転入生は稜の首に回す俺の手をぐいっと握った。

「そんな…ムリすんなよ…! ホントは傷付いたんだろ・・・!? いえよ陸っ!」


叫ぶ転入生に、これがなければな・・・と遠い目をして考えた。





2010/10/28/


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