07
(王道主視点)



どこを見渡しても、どう見ても金の無駄遣いとしか言いようがない内装に、なんだか溜息がでる。おれを案内してくれてる満にそう言ったら、面白そうに笑ってたけど。
・・・あ! 満は生徒会副会長で、転入生であるおれが学園内で迷わないように案内してくれてるヤツなんだ! 張り付いたような笑顔が気持ち悪くてそれを指摘したら、満は驚いた顔をして、それから満面の笑みを浮かべてくれた。満は可哀想なヤツでさ、満自身を見てくれる人が生徒会以外にいなかった所為で偽った笑顔を浮かべてたんだ。満は顔が良いから、親衛隊ってのが存在してて、そいつらが満に話しかけてくる奴らを全部排除しちゃうんだって。そんなのおかしい! 悲しそうな笑顔で親衛隊のことを語る満に、おれは言ってやった。「おれたちは友達だから、もし親衛隊になにかされても、絶対におれは満から離れたりしない!」って。なんか自意識過剰すぎたかもって思ったけど、満が嬉しそうに笑ってくれたから、おれ良い事言ったんだよな?
その直後に満からされた、その、・・・き、キスにはすっごい驚いたけどさ! 吃驚するおれに、満は「僕帰国子女なんだ。いまのは挨拶」ってニッコリ言うからなんも言わないけど・・・唇にするのはヤメロよな!

それから連れられて行った理事長室では、父さんの弟だけど初対面な理事長がにこやかに中に迎え入れてくれた。名前聞いたけど、なんか笑顔で内緒って言われたし・・・、なんだよ、教えてくれたっていいじゃん。

軽くこの学園の決まりについて教えてもらったり、父さんや母さんの近況をちょっとだけ話して理事長室を出た。



なんか吃驚することばっかで、その上美形ばっかの学園にはすっごい驚かされた! 受験に顔の審査もあるんじゃないかって疑ったけど、同室の桂木稜は綺麗だけど地味な顔だったから、そんなわけないってわかった。・・・まあ、おれもそんなに顔整ってるわけじゃないから、人のこと言えないけどさ。
稜はすっごい良いヤツで、友達になりたい! って凄い思った。だからそう聞いたら、稜はおれがびっくりするような綺麗な笑顔を浮かべて、うん、って言ってくれたんだ。稜は穏やかで、おれの話すことをなんでも聞いてくれる。愚痴だって零したのにいやな顔一つしない稜の傍は、すごく居心地がよかった。

だから、寮の外ぶらぶらしてる時に友達になった、不良だけど優しい仁とか、食堂で仲良くなった生徒会のみんな(そういえば書記はいなかったな)と、稜も友達になって欲しいって思ったんだ! 生徒会のみんなと仁はおれの友達だし、稜もおれの友達なんだから、みんな仲良くなるのっておかしくないよな!

そう思ったから、生徒会室に行くのを拒む稜をフシギに思った。なんで? 確かに周りのヤツらには色々悪口叩かれるけどさ、そんなの関係ねェじゃん! 稜も他のやつらと一緒で、生徒会とか、不良とかいう線引きをするのか? そんなことないってわかってるけど、おれはすっごい悲しくて。でも、なんだかんだ言って生徒会室に来るって事は・・・もしかして稜、照れてるのかな・・・。って気付いた。確かに生徒会のみんなといい仁といい、かっこいいやつ多いもんな! なんだ、そうだったのか・・・。そういってくれればいいのに、照れる稜も可愛いな。
こうして、転入してから日課みたいになった生徒会室への訪問で、おれは、あの人と出会うことになる。





2010/03/06/


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