102
(第三者視点)



ぐるりぐるりと陸の周りを回る双子に、満が眉を顰める。

だれだれ、だあれ? と。
美しい顔立ちをした陸に興味津々な双子は、陸の顔を見つめながらもうろちょろウロチョロ。元々口を開くことをあまりしない陸は、(ああ・・・俺のことなんて放って置いてどこかへ行ってくれないかな・・・)なんて思いをはせて双子を完全にスルー。スルーされていることに薄っすら気付きつつも、何か少し悔しくてぐるぐると粘り続ける双子。

その光景を眺めていた満は、一向に動こうとしない現状にぷっつんときた。無駄なことが嫌いなのだ。


「颯太に風太、いい加減にしてください。うざったいです。そして陸も黙ってないで、名前の一つぐらい喋りなさい。というか一言くらいなんか・・・喋ったらどうなんですか? 弟だかなんだかしりませんが、道哉と同室のあの忌々しい一年生相手にした時ほど、とは言いませんか、」
「稜が忌々しい・・・?」
「失言でした、忘れてください」

じとりと、よく見えるようになった青い瞳が敵意を示す。どこかへ行っていた意識は稜の話となるとすぐさま戻ってきて、尚且つ今まで硬く閉ざされていた口をぱかりと開かせた。
口を開くことは愚か、感情の起伏さえもあまりみせない陸の明確な敵意に、一も二もなくすぐさま放った言葉を撤回させる満。何かオーラが怖かった。美人が怒ると怖いって本当なんですね、とは満の言。

「え、陸先輩なのっ!?」
「うそー、気付かなかった!」

そんな二人をよそに、目の前の麗人が生徒会仲間の陸であったことに驚きを表す双子。正体を知り、今まで隠されていた陸の顔をよく見ようとさらにうろうろしだした二人の頭を、満が小気味良い音を立てて叩いた。

「先ほど陸にも言いましたが、貴方達。授業はもう始まりますよ、急いで教室に行きなさい」

母親然とした満の様子に、陸がぱっと閃いた。双子が頭を抑えて文句を言っているが、それを軽くいなす満。なんだか今の(常識人)副会長になら、仕事に来てくれと伝えるのも苦じゃない気が・・・!

「じゃあ満先輩はどうするのさっ!」
「そうだそうだ、満先輩こそ授業に遅れちゃうのに!」
「僕は今から道哉のところに行くに決まってるでしょう?」

しただけでした。

ええー!!? なにそれずるい!

廊下に響く双子の高い声に、陸はなんだか痛む頭をそっと抑えた。おかしいな、保健室でリフレッシュしてきたところなのにもう疲れてるや俺。





2010/10/17/


prev next

MAIN-TOP

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -