101
(陸視点)



「もう授業開始時間になるというのにこんな所で何をしてるんですか?しかも貴方…見かけたことのない顔ですね。学年は?クラスは?名前は?黙ってないで何か言ったらどうです。それともそれほど目立つ顔立ちをしておいて一切噂が流れないほど貴方は人前に出てないと?それとも周りが興味を失うほどに愚鈍であったりでもするんですか。
…それにしても見れば見るほど腹のたつ顔立ちですね。可愛らしいというより僕のように美人…ですがそれ以上にかっこいいと称される顔立ちのくせに体格とか雰囲気のせいで美人にも見えるなんて…僕に喧嘩売ってるんですか?僕より綺麗だからって嫉妬してるわけでも八つ当たりしてるわけでもないんですからね!その額の傷と顔色の悪さが減点されて最終的に僕の方が美人なんですから!というか本当になんか喋ったらどうなんですか。まるで陸みたいな人間ですね。生徒会書記の。生徒会役員の不思議っ子要員の。桂木陸にそっくりですよほんと。雰囲気美人なところとか特にそうですね。それに…青い瞳まで本当にそ……っくり………?青…?…………!!ま、まさか貴方…!!」


ベラベラと口を挟む隙もなく喋り続けた副会長は驚愕に目を見張っている。一定の距離をとって喋っていたはずなのに何時の間にかかなりの至近距離にまで詰め寄り、俺の顔をまじまじと観察していた。

まさか、と再び唇が動く。次の瞬間声にならない声で絶叫した副会長は、ズザッと音が出そうなほど後ずさったかと思えば失礼なことにこちらを指差して口をパクパクと動かしていた。

「ま、ま…まさ、…まさか…!り、陸ですか!?」

取り敢えず眉を顰めつつも頷いてみせれば、血の気を引かせた顔で副会長は指を下ろす。

「・・・お、お久しぶりですね」

どことなくぎこちない態度。先ほどまでペラペラと調子よく喋っていた人物と同じ人間に見えないくらいの態度の変わりっぷりに内心首を傾げる。

す、と視線を下げて忙しなくきょろきょろと瞳だけを動かす様は、どうやってこの場・・・いや、俺から離れるか思案しているようで。


「・・・・・・」
「・・・・・・」

口を開いては閉じる、という動作を繰り返すばかりで一向に動きをみせない状況に、小さく溜息を吐く。俺からアクションを起こすべきだろうか。めんどくさい。でもここに居るほうがもっとめんどくさい。

「副会ちょ「満せんぱーい!」・・・」


折角めんどくさいながらに口を開いたのに。少し高い声が、俺の言葉にかぶせるようにして廊下に響く。俺の背後から聞こえてくる足音は二つ。聞き覚えのある声に、盛大に溜息を吐いた。

「あ、やっぱり満先輩だっ。僕の言うとおりだったでしょ、颯太」
「ほんとだー、でもこっちの人は見たことない。誰か分かる? 風太」


普段は生徒会室に行かない限り滅多に出くわさないというのに、最近のめんどくさい相手との遭遇率高すぎないか?


ああもう・・・。

「「ねーえ、お前だあれ?」」




めんどくさいな!





2010/10/11/


prev next

MAIN-TOP

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -