跡部に貰ったサファイアのピアスは私の右耳で控え目に光る。ふとした仕草で髪を耳に掛けた瞬間、深い青髪が視界を掠めた。
ぐいっと近付いた彼の両目が、どこかで見たことのある色を帯びていた。私の喉がこくり、と上下する。彼の低くて艶めかしい声が耳元を滑る。にゅるり、入り込む舌に生々しい音。
「それ、誰に貰うたん?」
吐息混じりの声に体が上手く動かない。呂律も回らない。
「え、あ、跡部…」
「ふうん」
興味なさげに呟いた忍足は自分の耳に手を掛けた。彼の深い青髪が左耳にかかると、そこには私と同じ色をしたピアスが輝いている。
「俺も、跡部に貰うたんや」
お揃いやな、なんてまた耳元で囁かれて、彼の瞳がアイスブルーに爛々と輝く。氷豹のように舌舐めずりして私の唇に噛みつきやがった。
跡部からの贈り物
親愛なる友人に捧げます
20111105 杏里