真っ白な教会に青い海、天国と見紛うほどの楽園に二人の影があった。仲睦まじく揺れるその影からぼんやりと声が響いて、辺りに溶け込んでいく。



「やっと、やっと貴方と」

か細い女性の声で囁く声に、もう一つの影が答える。


「ああ、ようやくだ」

しっかりとした男の声がして、揺らぐ影が片方の影に支えられ、くるくると回る。段々とはっきりしてくる影は二人の男女を形取っていった。


「シリウス」

「何だ?」

「長かったわ、とっても」

「ああ、眩暈がするくらい、長かった」

「でも私、後悔なんてしてないもの。今があるからこうやって貴方の隣に居れる」

輝く笑顔で男を見上げる名前は、彼の耳に囁くと二人の足元には先ほどまであった影が伸びていて。


「Hallelujah!」

名前はシリウスの手を取り、また笑う。神を讃え感謝しようと二人は祈るように額を合わせた。
シリウスは世界で一番幸せそうな顔をして、名前の愛していますと告げた唇は、赤く色づいていた。花嫁は花が綻ぶように笑います。顔にかかるベールを持ち上げた花婿はそんな彼女の唇に同じ様に微笑んで、誓いの口付けを送ったのでした。




-------
「狼さんがすき」に提出!
最終章part2を目の前にドキドキが止まらない。素敵な企画を下さった水瀬さんに感謝!

20110714 杏里

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -