(5/23)創作・おじ→ショタ



吸い付いてくる肌は、もっちりと弾力があって、子どもの肌独特の感触だとふと実感した。犯罪すれすれ、否、犯罪級の行為に及んでいるとは露知らず、好奇心のままにぺたぺた頬に触れてくる甥っ子は、そのまま触れた箇所を確かめるように、小さな唇を押し付けてくる。
それが癖になってしまったのは、いつからだっただろうか。気づけば母に愛されるように、それに似てるのか違うものなのかを俺に押し付けてくるようになった。まだ、愛を語る大切な場所だとは知らずに。
「んー?んーっ」
何が面白いのか、きゃっきゃと笑いながら何度も唇を押し付ける。ニキビ跡の残る頬が飽きたら、次はへこんだ鼻へ。つまんで笑い、唇を近づけても笑顔のまま。
「…一体何が楽しいんだかねえ」
呆れ半分、複雑な心境だ。
甥の母である、俺の妹は少し用事があるからと出掛けている。少しにしてはえらく長く感じるが、それは罪悪感が胸にあるからだろうか。相変わらず甥の拙い愛撫は変わらない。押し付けるだけしか知らないキスが、顔中がベタベタになるほど行われている。
いつか甥は知ることになるだろう。母のするキスの意味と、俺にしている行為の違いを。いつかあのことは忘れてくれと笑う日が来るのだろう、今とは異なる大人の顔をして。
(知らないままで居てくれたらなあ…)
罪悪感と独り善がりがない交ぜになって、苦笑として面に表れる。
「うー?」
屈託のない笑顔と舌足らずな言葉。そのどちらもが、いつか消えてしまうその時まで。愛されておけ、存分に。濡れた唇にそんな願いを込めて、これからも目の前の甥を愛すのだ。


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