(1/28)ついろぐ・豪風
ベタな話だが、クラスメートの女子と体育館倉庫に閉じ込められた。広い体育館に広い体育倉庫だからお約束な展開にはならないけれど、普段あまり話さない女子と二人きりの状況で気まずい思いをするかと思いきや、話題は女子の方から振られ、いつしか豪炎寺の話になっていた。
「豪炎寺くんって身体柔らかいよね!特別に何かやってたりするの?」 「いや、あいつは筋トレが趣味なところあるからな。日頃から入念にストレッチやってるし」
「そっかー。サッカーでも使うもんね、筋肉。他に風丸くんしか知らない豪炎寺くんの凄いとこってある?」
「凄いところ?うーん、そうだな」
あいつは何でも努力家だしな、なんて真剣に考えていたら施錠されていた扉が大きく開いた。眩しいその光の先に、話題の主役の頭が見えた。豪炎寺だ。
「大丈夫か?」
その一言を置いて、女子ではなく俺の腕を掴む。立ち上がり、外に出ながら瞬く間に女子の方にも良くつるんでる友人が駆け寄っていき、悪環境に解放されたことに安堵したけれど、言うほど不安にはなっていなかったものだから、力強い腕の先に何の返答も出来なくて、ふと浮かんだ言葉をそのまま舌に乗せる。
「そういえばさっき、豪炎寺の話してた」
眉根をきつく寄せ、振り返るその表情に、先ほどの女子への返答が浮かんだ。こいつの凄いところは、誰にも言わないけれどーーきっと真っ先に大事な物を守れるこういうところだと思う。
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◆閉じこめられて
(女子が苦手な風丸さんを守るために、誰よりも真っ先に職員室に向かっていった豪炎寺さんまじかっこいい兼独占欲の強い彼氏です)
お題お借りしました。
https://shindanmaker.com/590587
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