「次の問題…、三ツ谷、答え言ってみろ」
「はい」

そう言って立ち上がったのは私の隣の席の三ツ谷君だ。見た目は不良なのにちゃんとほぼ毎日登校してるし、手芸部の部長を任されているらしい。

「よし、正解だ」

チラリと隣を見ると、三ツ谷君が席に着いてノートに書き足している様だった。

「…………ん?」

突然三ツ谷君が私の方を向いて首を傾げるから慌てて視線をノートに落とす。びっくりした。まさか私の方を見るとは思わなかった。

「さっきオレのこと見なかった?」
『……え、』

授業が終わるなり三ツ谷君は体を私の方へと向けてそう言った。バレたら最悪殴られるかもしれない。

『み、見てない…』
「嘘。しっかり目合ったじゃん」
『見てない…』

ノートと教科書を片付けるフリをしながら否定すると、三ツ谷君は「ふーん…」って言いながら机に肘をついて口を開いた。

「そんなにオレ怖い?」
『……………………怖くない』
「すっげー間があったな」

ケラケラと笑いながらそう言った三ツ谷君を視線だけで盗み見ると、なんて言うか、子供っぽいっていうか、中学生らしい笑顔を浮かべでいて、思ったより怖くないかも、なんて思った。

「オレさ、見た目こんなだろ?だから怖がられること多いんだよね」
『そ、そうなんだ…』
「でも手芸部の部長もやってるし、態度も悪くないと思うんだけど」
『へ、へぇ〜』

突然の自慢話に私はどんな反応をしていいのか分からなくなってしまった。でも間違えた反応なんてしたら怖いから当たり障り無い事を繰り返す。

「それでたまにオレも休むだろ?」
『そうだね…』
「だから出来ればノート見せて欲しいんだよね」
『………私の?』
「うん」

気付いた時には頷いてしまっていた。怖過ぎて断れなかった自分が憎い…。






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