ろく


「えっと、それで、影山を自由にし過ぎっていうのは…」

『なんでもっと性格悪く攻めないの?』



話題を戻す様に山口が問うと、名前は眉を寄せ首を傾げた。


『月島くんなんて得意そうじゃん』

「殴られたいんですか」

『どうしてサーブで影山くんを狙わないの?どうしてスパイクで影山くんを狙わないの?どうして影山くんにセッターをやらせちゃうの?』

「…え?」




縁下、山口、菅原あたりから引いた様な声を出されたが、名前は気にした様子も無く、言葉を続ける。



『もちろんサーブやスパイクで狙って怪我させろ、とかじゃなくて。ただ純粋に影山くんに綺麗なセットアップをさせ過ぎ。サーブで狙って影山くんをファーストタッチにすればいいし、スパイクで狙って体勢崩しちゃえば儲けもの。………違う?』




純粋な疑問を投げかけた様子の名前は首を傾げ、そう部員に問うと、月島がニヤリと笑って言葉を発した。



「ワァ〜、意外と苗字さんって性格悪いんですね〜」

『スポーツなんて気が強くて性格が悪くないと出来ないでしょ?その点では月島くんはスポーツに凄く向いてるよね』

「いやいや〜、苗字さん程じゃないですよ〜」

『そりゃどうも』



そう言って名前と月島はあはは、と笑うと次の瞬間にはスンと真顔になっていた。



『影山くんを崩せば流れで日向くんも崩れる。そしたらあの変な速攻は使えない。運良くこっちのチームは視野が広くて冷静な人が多いんだからもっと考えてプレーしなよ』



名前がそう言った次の瞬間にはホイッスルが響き渡り、タイムアウト終了が告げられる。名前が得点板の方に戻ろうと背を向けると、不意に月島に名前を呼ばれる。



「…なんでアドバイスをくれたんですか」

『……………』




名前は少し考えるように手を顎に当て、首を捻ると、1人で納得した様に、うん、と言って口を開く。




『私は性格悪いから』




月島は驚いた様に瞳を見開くと、少し笑って小さく「…気にしてたんだ」と言った。





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