よんじゅうさん
「…たった数ヶ月の付き合いで何言うとんねん」
「でも宮さん苗字さんと知り合いじゃないって言ってましたよ?」
「…………………言うとらんし」
「…?ユース合宿の時に、」
「言うとらんし!!!!!!!」
侑は冷や汗を流しながら影山に言い返すと、影山は不思議そうに眉を寄せた。
「…どうでも良いんですけどうるさいんでさっさとそれ返して貰えます?」
不機嫌そうに笑顔を浮かべた月島は顔だけを後ろに向け侑に声をかける。更に侑の顔が不愉快そうに歪む。
「…自分ら
何なん?腹立つわァ〜」
「名前さんがトレーナーを務めてる烏野ですケド〜?」
「…名前さん、やと?」
「…何か問題でもありますか?」
「あるに決まっとるやろ。名前を名前で呼んでええのは俺だけや」
『………治も呼んでる』
「サムはええねん!!……いやよくは無いけど!!」
『…いい加減に離して。周りの目が痛い』
名前は侑の胸元を優しく叩くと侑はゆっくりと少しだけ体を離した。
「……逃げんなよ」
『どこに逃げるの…』
名前が諦めた様にそう吐くと侑は名前を離して隣に立つ。
「………いつまで宮城に
居るん?」
『いつまでって…、ずっとの予定だけど』
「…神戸に帰って
来んの?」
『帰るも何も元々私が住んでたのは宮城だよ…』
侑は悲しそうに眉を下げて名前を上目遣いで見ると、名前は胸元をグッと握って瞳を閉じ眉を寄せる。
『ぐぅ…、その顔やめてっ!』
「…なぁ、名前」
『こっ、これだから自分の顔の良さを分かってる奴はっ…!!可愛いな!!ちくしょう!!けど神戸には行けないよ!!』
「ちっ…」
侑が舌打ちをすると彼の片割れの声が響いた。
「帰って来うへん思ったらやっぱりここに居ったんか」
『あ、治』
「飲みもん買いに行ってから時間かかりすぎや」
治は侑とは反対の名前の隣に立ち、侑に言葉をかける。
「ええ加減に戻らんと北さんキレるぞ」
「げっ…、」
「それにお前飲みもん買っても入れ替えるんやから粉で作った方が楽やろ」
「サム!」
『…入れ替える?』
名前が侑を見上げると侑はグッと眉寄せて、居心地が悪そうにゆっくりと視線を逸らした。
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